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リハビリで地域を元気に 〜対談 設立50周年を迎える広島県理学療法士会〜

2020/7/20

 医療や介護の現場で欠かせない存在なのが、患者のリハビリテーションを指導する理学療法士です。今年は日本理学療法士協会(東京)が設立されて55周年。広島県理学療法士会(広島市東区)も来年、設立50周年を迎えます。日本に理学療法が根付いて半世紀となる今、理学療法の役割や地域での活動、今後の抱負などについて、広島県理学療法士会の甲田宗嗣会長と實延靖・広報局普及推進部長が語り合いました。


介護予防や災害対応に力
広島県理学療法士会 会長
甲田 宗嗣さん


 こうた・むねつぐ 1977年三原市生まれ。広島大大学院保健学研究科博士課程修了。2001年に広島県理学療法士会に入会し、常任理事や副会長を経て19年から現職。15年から広島都市学園大健康科学部リハビリテーション学科准教授。


県民の健康意識アップを
広島県理学療法士会 広報局普及推進部長
實延 靖さん


 さねのぶ・やすし 1978年呉市生まれ。吉備国際大保健科学部理学療法学科卒。2001年に広島県理学療法士会に入会し、東広島支部長を経て19年から現職。18年から介護老人保健施設「葵の園・広島」リハビリ主任。

 ─広島県理学療法士会は、どんな団体ですか。
 甲田 理学療法士は、病気やけがで動作が不自由になったり、痛みを感じたりする人に対して、運動機能の維持や改善を図るリハビリテーションの専門職で、国家資格が必要です。当会は理学療法士が情報交換しながら、研さんを重ねる場として1971年に発足しました。
 實延 当時はリハビリという言葉さえ、一般には知られていない時代。会員数はわずか22人でした。設立は理学療法士の認知度を高め、有資格者を増やす狙いもありました。
 甲田 設立して約30年は、理学療法士の数があまり増えませんでした。しかし、介護保険制度が導入された2000年以降はリハビリのニーズが高まり、理学療法士も急増。現在の会員数は3200人です。
 ─主な活動内容は。 
 甲田 柱の一つは学術活動です。「広島県理学療法士学会」を毎年開催し、臨床の事例や最新の研究成果を発表。スキルアップのための研修会や講習会も積極的に開いています。
 實延 もう一つの柱が社会活動です。地域の健康イベントや市民講座で健康づくりや手軽な運動方法を指導。スポーツ分野では、広島県高校野球連盟の依頼で、地区大会にメディカルトレーナーを毎年派遣しています。車いすテニスなどの障害者スポーツも支援しています。

医療現場や在宅で活躍

 ─そもそも理学療法とは、どんな治療法ですか。
 實延 失われた体の機能を取り戻すための医療技術です。具体的には、治療体操その他の運動を行いながら、起き上がる、立つ、歩くなどの動作や車いすの練習を指導します。電気刺激や温熱、マッサージといった物理的な治療を行うこともあります。運動機能の回復を通じ、ADL(日常生活動作)の改善やQOL(生活の質)の向上を目指します。
 甲田 骨折や脳卒中、がんの手術後など、体が動きにくくなる原因はさまざまです。外科、内科に限らず、理学療法士には幅広い知識が求められるため、当会では新人の基礎教育に始まり、成長に応じて高度な知識や技能が身に付く生涯学習プログラムを展開。上位資格の認定理学療法士や専門理学療法士の取得も推奨しています。
 實延 医療機関では、手術直後の急性期から関わり、回復期や生活支援期にはチーム医療の一員として、医師や看護師、ケアマネジャー、作業療法士、言語聴覚士らの多職種と連携し、患者を支えています。
 ─在宅リハビリや介護の分野での取り組みは。
 實延 退院後は患者本人には運動療法を、家族には介助の方法を指導します。さらに、転倒を防ぐために、手すりなどの福祉用具を提言するのも役割の一つです。また、福祉施設でもニーズは高まっています。会員は、認知機能を刺激するトレーニングなどの情報を福祉の現場に伝えて支援しています。
 甲田 当会では在宅分野で働く理学療法士のスキルアップにつなげようと「在宅リハビリテーション研究会」を毎年開催しています。講演や演題発表、ディスカッションを通じ、知見を深めています。


「自分らしい生活」支援

 ─近年、特に重視している活動は。
 甲田 広島県民の健康寿命が全国的に低位にある中で、地域での介護予防活動を推進しています。例えば自治会の体操教室など、住民が運営する「通いの場」に協力し、参加住民の健康状態を評価した上で適切な運動指導を実践。広島市と連携し、広島東洋カープの応援歌をBGMにした介護予防体操の開発にも携わりました。
 實延 2016年からは、自動車販売会社の店舗で高齢ドライバーを対象とした「健康安全運転講座」の開催に協力しています。好評のため、19年度は7回も実施しました。
 ─災害時のリハビリ指導も注目されています。
 實延 大規模災害が発生し、避難所での生活が続くと、体を動かす機会が減ります。不活発な状態が続くと、心身の機能が低下。筋力や心肺機能が衰え、病気やうつになる危険が高まります。こうした「生活不活発病」を防ぐ意味で、避難所での活動に注力しています。
 甲田 災害時の対応を円滑にするため、13年に広島県の「広島県災害時公衆衛生チーム」と協定を締結。16年には「広島県災害リハビリテーション推進協議会(広島JRAT)」が開設。14年の広島土砂災害、18年の西日本豪雨では理学療法士の避難所への派遣に協力し、ADLの指導や健康支援に当たりました。
 實延 新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続いた4月、会員が生活不活発病を防ぐための体操を考案し、発表しました。
 ─設立50周年に向け、今後の課題や抱負は。
 實延 理学療法のPRや健康意識の喚起を図る情報発信も課題の一つです。会員へ、また県民への広報の強化を図ります。
 甲田 高齢化や人口減少が進む中で、地域との関わりをもっと広げていきたいと考えます。今後は高齢者だけでなく、メタボリック症候群や生活習慣病の予防など、中高年をターゲットにした活動も検討します。当会のスローガンは「自分らしく生きる。その『一歩』をサポートします」。病気や障害があっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らしたいという一人一人の思いを大切にする「地域リハビリテーション」の担い手を育てていきたいですね。
 ─ありがとうございました。


公益社団法人広島県理学療法士会
〒732-0052広島県広島市東区光町2丁目6−41 セネスビル5階
TEL 082-568-5610 FAX 082-568-5614

本対談は、公益社団法人日本理学療法士協会
設立55周年記念事業の一環として実施しました。

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