運動部デスク日誌

プロ意識

2020/8/6

 先日、テレビの深夜番組に清原和博さんが出演していた。とんねるずの石橋貴明がたき火を挟んでゲストと語り合うという番組。ご覧になった方もいるだろう。その中で、清原さんが今、最も気になる野球選手の名前を挙げていた。「鈴木誠也選手ですね」
 球界を代表する新旧の天才打者。ともに、高校からプロ入りした右の長距離砲で、若くして4番打者としてチームを支えていた境遇も同じ。清原さんにとっては、現役時代の自分の姿に重なって見えたのだろう。ただ、清原さんがそうだったように、鈴木もその才能だけでここまで成長したわけではない。
 入団1年目のオフ、12月上旬の話だ。ネタを探して、午前10時前に大野屋内総合練習場を訪れた。秋季キャンプも終わり、若手選手はほとんどが帰省。空振り覚悟だったが、がらんとした練習場では乾いた打球音が響いていた。のぞいてみると、鈴木がたった一人、マシンを相手に打ち込んでいた。
 しばらく見学した後、練習場を離れた。夕方、もう一度訪れてみると、まだ打ち込みは続いていた。ボール拾いを手伝いながら、声を掛けた。「同期はみんな古里へ帰ったんだろう。東京へ帰って、昔の仲間と遊んだりしないの」。鈴木の答えはこうだった。「お金を稼げるようになってから遊べばいい。だから僕は今、遊ばない。2年目が勝負だと思っているので」
 この世界で成功するかどうかは、才能だけではなく、人一倍努力できるかどうか。その努力を支えるのは強烈な「プロ意識」だろう。懸命にチームを引っ張る姿に、あのときの言葉が重なった。(小西晶)

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