運動部デスク日誌

53歳

2020/8/7

 正直に言うと、若い頃は好きではなかった。派手な言動が気に入らなかった。技術があるし、結果も残していたが、それでも「ちゃらちゃらして」と認めたくない思いがあった。それがいつからだろう。尊敬するサッカー選手の一人になっていた。
 5日にあったYBCルヴァン・カップで、「キングカズ」こと横浜FCの三浦が先発した。53歳5カ月と10日だそうで、もちろん出場選手の最年長記録を大幅に塗り替えた。6日の新聞各紙は写真付きで大きく報じた。近年は40代の選手も増えてきたが、50歳を過ぎてあれだけ動けるのはすごいとしか言いようがない。
 日本サッカーの象徴と言える存在だが、個人的に気になりだしたのは2度目の海外移籍となったクロアチアから帰国後だったと思う。京都や神戸では戦力外となり、横浜FCでは長く2部でプレーした。スーパースターでありながら、どんな扱いを受けても恨み言を言わず前を向いて現役にこだわる姿勢に、「純粋なサッカー小僧」という彼の本当の姿を見た。素直に格好いいなあと思えるようになった。
 いまだ現役を続けることに賛否の声がある。「もはや全盛期の力はない」「客寄せパンダに過ぎない」などなど。それでもいいじゃないかと思う。50歳を過ぎても節制して体形を保ち、若い選手に交じって走る。とてつもない努力を続けられる精神力は、プロのかがみである。何より、ボールを持つだけで観客を沸かせられる選手がどれほどいるか。カズのいないJリーグなんて想像できない。(日野淳太朗)

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