運動部デスク日誌

試練

2020/8/9

 大学で心理学を専攻していたせいか、人と話をするとき、表情を読むのが癖になった。プロ野球担当になってからは、より意識するように。取材時には極力、ノートに視線を向けず、相手の顔、目を見ながら、質問をし、答えを聞いた。本音なのか、建前なのか、強がりなのか…。その表情から、言葉の真偽を探っていた。
 そのような取材は、時代に排除されてしまったようだ。新型コロナウイルスの感染拡大により、求められ始めた「キープディスタンス」。取材者と距離を置くだけならまだしも、サッカーJリーグの試合などは、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使ったリモート取材で、選手と接触することもできなくなっている。
 「with コロナ」の時代の中では、この流れは今後も広がっていくと予想される。10月に開幕するバスケットボールBリーグ、バレーボールVリーグも、Jリーグ方式の採用を検討しているとの話もある。記者にとっては嘆かわしい現実ではあるが、この状況下でプロスポーツを実施していくためには、受け入れざるを得ない現実なのだろう。
 そう納得した上で、一つ心配がある。「after コロナ」の時代についてである。スポーツ取材の原点は人間を知ること。プロスポーツに限定すれば、「深く知ること」が求められる。「3密」など気にせずに、選手と接触できていた時代が戻ってくるかどうか。「リモート」の便利さからは得られないものがある。(小西晶)

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