運動部デスク日誌

サンパイオ

2020/8/20

 先日、本欄でサンフレ時代のセザール・サンパイオとの思い出を紹介した。大きな反響をいただいた。予想外だったのは、横浜FCのサポーターのみなさんにも読んでいただいたこと。この場を借りて感謝申し上げるとともに、サンパイオという選手の偉大さをあらためて感じている。
 野球、サッカーとプロスポーツの取材に20年携わってきた。たくさんの外国人選手に出会ってきたが、「なかでも印象深い選手は」と問われれば、迷うことなくサンパイオと答えるだろう。サンフレに在籍したのは1年半にすぎないが、実に濃密な時間をともに過ごした。サンフレがクラブの将来を懸けて、1年でのJ1復帰を目指したシーズンだったからである。
 2002年12月。チームはJ1クラブの草刈り場と化していた。若手の多くは残留したものの、チームの顔だった久保竜彦、藤本主税は移籍が確実な状況。外国人選手の補強も難航していた。「1年で復帰できるのか」。不安の声も聞かれ始めた年の瀬の29日、ブラジル代表を11年間支えた、世界的MFの入団が決まった。サンフレに関わる人々がどれほど勇気づけられたか。あの時の感激を、決して忘れることはない。
 年俸だけでいえば、サンフレよりもはるかに好条件のオファーがあったという。しかもJ2。W杯はもちろん、世界のトップリーグで戦ってきたスター選手が、なぜ広島を選んでくれたのか。答えは明解だった。「お金以上に大切なもの。それはチームが自分を必要としてくれているかどうかということだ」。まもなく始まるJ2の戦いに、ワクワクしている自分がいた。(21日に続く)
 (小西晶)

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