運動部デスク日誌

ジャガー

2020/8/24

 最近メディアで取り上げられる機会は減ったが、絶好調のようだ。サッカーのセルビア1部リーグのパルチザンに所属する浅野拓磨。22日の試合で初のハットトリックを達成し、4試合連続ゴール。5試合で6得点と点取り屋の本領を発揮している。
 浅野と言えば今でも思い出す姿がある。三重・四日市中央工高からサンフレに入団した2013年。担当記者として彼と話した初夏のことだったと記憶する。初々しい中にもキリッとした表情で言った。「今はまだまだ実力が足りないけれど、いつか寿人さんを押しのけて、レギュラーの座をつかむ」。
 「寿人さん」とは言うまでもなく、当時の大エース佐藤寿人のこと。前年にはクラブ史上初の得点王に輝き、チームの悲願の初優勝に大きく貢献した絶対的存在である。対する浅野は全国高校選手権で得点王になったとはいえ、即戦力と呼べるレベルではなかった。実際、練習でも競り合いで簡単にはじき飛ばされ、なかなかシュートを打たせてもらえなかった。
 そんな時に「プロの壁」について話を聞いていると、飛び出したのが「寿人さんを押しのける」発言だった。歴然とした実力差にへこたれるどころか、強気な言葉を発した。それくらいの気持ちがないと、プロでは生き残れないというのが彼の考えだった。
 その後の活躍は周知の通り。快足を武器に主力に上り詰め、世界屈指の強豪アーセナルからオファーを受けるまでに成長した。欧州では思うように結果を残せず、今は日本ではなじみの薄いセルビアでプレーする。しかし、彼のメンタリティをもってすれば、いずれまたスポットライトを浴びる場所にはい上がってくるに違いない。(日野淳太朗)

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