運動部デスク日誌

球児

2020/9/2

 阪神の藤川球児が今季限りでの引退を発表した。主に救援投手として戦った22年間のプロ人生。日米通算243セーブという偉大な数字が、彼の残した輝きの全てではない。
 1992年にプロ野球記者として働き始めてから、何人もの素晴らしい救援投手に出会ってきた。横浜の佐々木主浩、中日の宣銅烈、ヤクルトの高津臣吾…。名前を挙げればきりがない。九回、時には八回途中からでもマウンドに上がり、圧倒的な存在感でチームを勝利に導く。彼らが出てきたら、ゲームセット。それが野球記者の条件反射だった。
 藤川という投手のクオリティーは、歴史に名を残す守護神と比べても全く遜色ない。だが、その輝きは違う。2005年以降、球界を席巻した「JFK」。藤川(F)、ジェフ・ウィリアムス(J)、久保田智之(K)が登板する七回以降、相手チームの攻撃は完全に無風となった。阪神が六回を終えてリードしている試合は、勝率が9割を超えた。つまり、藤川ら3人が、野球を9回ではなく「6回までのスポーツ」にしたのである。
 「高橋、浅尾、岩瀬」(中日)、「マシソン、山口、西村」(巨人)…。JFK以降、「六回で試合を終わらせられるチーム」がセ・リーグの歴史を築いてきた。広島の3連覇も例外ではない。藤川は阪神だけではなく、日本の野球を変えた。その輝きは、今後も失われることはない。(小西晶)

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