運動部デスク日誌

東京まで届け!

2020/9/27

 ホッケー女子の日本リーグが26日、開幕した。ホッケーを初めて取材したのは大阪支社に赴任した時。3年間、日本リーグでのコカ・コーラレッドスパークスの戦いを追い、2014年の仁川アジア大会、16年のリオデジャネイロ五輪では日本代表も取材した。私にとっては思い入れのある競技である。
 印象に残っている選手がいる。北京、リオと五輪2大会に出場した小野真由美選手。当時はコカ・コーラの主力選手だった。初めて会ったのは、14年4月の日本リーグ開幕戦。格下の東海学院大に1―0で勝った後、取材をお願いしていたのだが、待てど暮らせど約束の場所に現れない。見事にすっぽかされたのだ。
 ただ、記憶に残っているのはそのときの腹立たしさではない。試合終了直後、彼女はスタジアムの裏で一人泣いていた。故障の主将に代わって担ったゲームキャプテン。ふがいない試合内容に、自分が許せなかったのか。勝負の世界を生きることの厳しさを垣間見たような気がした。
 その後の彼女の印象は、涙とは正反対の「強いリーダー」。個人だけでなく、チームの責任まで背負って戦っているように見えた。最後に話を聞いたのは16年6月、リオ五輪への思いを語ってもらった。ロンドンでの代表落選を受け、8年ぶりに向かう五輪の舞台。ともに代表入りを目指してきた仲間に話が及んだ時、彼女は人目もはばからず泣いた。その涙を、私は黙って見ているしかなかった。
 そんな彼女も36歳。広島を離れた今も、関東の大学のホッケー部のアドバイザーを務めながら、代表入りを目指していると聞いた。新型コロナウイルスで先が見通せない状況ではあるが、彼女の涙の軌跡が無事東京までたどりつくことを願っている。
(小西晶) 

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