運動部デスク日誌

ミスターの夢、花開く時

2020/10/1

 本日のスポーツ面に懐かしい顔が並んだ。広島ドラゴンフライズの佐古賢一・初代監督と大野篤史・初代コーチ。悲願だったB1の舞台が開幕するのを前に、2人にドラフラへの思いやエールなどを語ってもらった。詳細はぜひ紙面で確認していただきたい。
 個人的に思い出すのは佐古さんとの日々である。担当になったのはBリーグが発足した2016―17年シーズンの途中。相手はなんと言っても「ミスターバスケットボール」。緊張しながらあいさつした記憶があるが、フランクな人柄にあっという間に引きつけられた。
 驚いたのは「切り替えの速さ」。練習中は鋭い眼光で選手に厳しく指示を送るが、練習が終わった瞬間、にこやかな表情に変わる。差し入れのケーキをうれしそうにほおばり、選手とも笑顔で会話。多くの選手が慕うのもうなずける。
 取材にも何でも答えてくれた。こちらが「そんな内情まであけすけに言って大丈夫ですか」と思ったほど。裏表のない性格に加え、まだ認知度の低かったチームをとにかく知ってほしいという思いが伝わってきた。
 残念ながら佐古さんの取材は長く続かなかった。このシーズン、目標の1部昇格を逃し、責任をとって辞任。その後、ファンが続投を求めて10万筆の署名を集めた。署名の束を前に、涙ながらにあらためて辞任の決断を明かす姿が今でも目に焼き付いている。
 「最初の頃は練習場もボールも何もなかったけど、夢があった」。辞任直前にチーム発足当時のことを聞いた時、そんな答えが返ってきた。「ミスターバスケットボール」が広島でまいた種が、B1の舞台でいよいよ花開く。(日野淳太朗)

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