運動部デスク日誌

陸上を楽しむということ

2020/10/5

 陸上の日本選手権が終わった。男子100メートルの山縣亮太、女子100メートル障害の木村文子という広島の誇る男女のエースがそろって欠場。気持ち的には盛り上がるものがなく開幕を迎えたのだが、予想以上に熱い大会となった。それは、地元選手の頑張りがあったからにほかならない。
 史上初かどうかは定かではないが、大会の3日間全てで、広島出身選手の優勝者が出た。1日目は、女子やり投げの佐藤友佳(ニコニコのり、一ツ橋中出)。2日目はハンマー投げの渡辺茜(丸和運輸機関、砂谷中出)。そして最終日は、男子走り高跳びの真野友博(九電工、広島山陽高出)。特に真野は五輪参加標準記録(2メートル33)まで3センチに迫る好記録で、東京五輪代表候補に名乗りを上げた。
 3人の喜びに胸を熱くしたのは、陸上担当記者時代に、敗者としての姿を目に焼き付けていたからだろう。初めて取材したのは佐藤が2011年アジア選手権、渡辺は14年長崎国体、真野は14年インターハイ。優勝原稿は書けなかった。その後は、伸び悩んだり、第一人者の高い壁に何度も跳ね返されたり…。その道程を知るからこそ、興奮せずにはいられなかった。
 敗者から勝者へ。心に残るハッピーエンドであっても、彼らの挑戦はまだまだ終わらない。この道の先にある世界を目指して、新たな物語をつづっていくことだろう。それを追い続けることが、陸上を見る楽しみなのかもしれない。
(小西晶)


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