運動部デスク日誌

予想はうそよ

2020/10/15

 「予想」は反対から読むと「うそよ」となるだけに、当たらないのが相場らしい。それでも、スポーツ記者の中には、自分の勝敗予想に、根拠もなく自信を持っている人がいる。担当するチームをかなりひいき目で見ての予想であることは否めないが…。
 「勝ちますよ」。13日の夕方、練習取材を終えて帰社したサンフレ担当1年目の記者が声を張った。「勝つって、明日の川崎戦か」と問うと、「もちろん。そろそろ(連勝が)止まりますよ。スコアは1―0」。なぜか自信満々である。
 正直、ブラフだと思った。それはそうだろう。川崎は19勝2分け1敗の勝ち点59。現在、今季2度目の9連勝中で首位を独走するJ最強軍団である。一方、サンフレは勝ち点31で前回対戦は1―5で大敗。全国のサッカー記者でサンフレの勝ちを予想したのは、彼だけだったに違いない。
 そして、14日。試合開始直前、彼は熱く語り始めた。「ホームですよ、ホーム。絶対にへたな試合はできないというメンタリティーを、僕は練習でひしひしと感じたんですよ」。その気概は、確かに選手のプレーから伝わってきた。しかし、気持ちだけでどうにかなるほど、サッカーは簡単なスポーツではない。
 0―2。試合終了のホイッスルが鳴り響いた。「力不足でした」。気落ちした声だった。プロスポーツの記者にとって、担当チームは家族同然。熱くなることは決して悪いことではないが、冷静さを失っては、説得力はなくなる。この矛盾した感情とどう上手に向き合っていくか。当たらない予想を繰り返しながら、少しずつ覚えていくものなのかもしれない。(小西晶)


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