運動部デスク日誌

最高峰で戦える奇跡と幸せ

2020/10/18

 誤解を恐れずに言えば、高い壁にはね返される姿を見ても楽しい。こてんぱんにやられてもネガティブな感情にはならない。バスケットボール男子1部(B1)で4連敗を喫した広島ドラゴンフライズ。勝ち負け以上に、日本最高峰のリーグで戦うチームを見られることがうれしいのである。
 クラブが歩んできた道のりを振り返れば、この舞台に立っていることが奇跡にさえ思える。プロスポーツクラブの経営に携わったことのない人が、情熱だけで立ち上げた。当然ながら親会社も大手スポンサーもなく、経営は綱渡りの連続。消滅の危機に何度も直面した。
 Bリーグが始まった2016〜17年シーズンも経営は不安定。債務超過があり、Bリーグで戦うためのライセンスがもらえるかも不透明だった。翌シーズンには監督の解任と米国人コーチの突然の帰国で、指導者が不在となる前代未聞の事態に。「試合ができるのか先が見えず、あの時が一番きつかった」。監督代行を務めた朝山はそう明かした。
 ほかにも問題が次から次に立ちはだかった。苦しい日々の中でも少しずつ応援してくれる人を増やした。多くの人の汗と涙、そして愛情の積み重ねでたどり着いた舞台である。B1で勝って喜び、負けて悔しがることができてなんと幸せなことか。
 開幕から1勝5敗と厳しいスタートで、選手たちは苦しいだろう。これからも簡単にはいかないはず。黒星が重なれば、チームが揺らぐ時がくるかもしれない。それでも先人たちの思いを背負い、「泥くさく一丸で戦う」というチームの色を見失わず壁に立ち向かうことを願っている。(日野淳太朗)

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