運動部デスク日誌

愛された指揮官

2020/11/4

 大阪支社時代の2017年は、長い記者生活の中でも思い出に残る年だった。9月18日にカープが甲子園球場で37年ぶりとなるリーグ連覇。その8日後には2軍が26年ぶりの優勝を決めた。甲子園で2度も胴上げを見ることができたのだ。その時に宙を舞った水本2軍監督が、今季限りで退団することになった。
 16年に2軍監督に就任。現役時代にスターだった選手が2軍監督を務めるチームも多いが、就任までに歩んだ道は対照的だ。1990年に捕手として入団し、1軍を経験せずに2年で引退。ブルペン捕手や2軍バッテリーコーチを務め、アテネ、北京両五輪ではブルペン捕手として日本代表に帯同した。
 積み重ねた経験に基づく指導力。厳しさの中にも選手に寄り添う温かさも感じた。歩んできたプロ野球人生からも、悩んだり苦しんだりしている選手の痛みが分かる指導者だったのだろう。リーグ3連覇の時は1軍へ送り込んだ選手が次々と戦力に。佐々岡監督となった今季も羽月、大盛らまだ実績のない選手を積極的に1軍に推薦し、新風を吹き込んだ。
 17年にはファーム日本選手権も制し、裏方稼業を歩んできた男が日本一の監督になった。人柄からファンや2軍の本拠地岩国市由宇町の人たちからも愛され、退団を惜しむ声が相次いでいる。
 お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。
(下手義樹)


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧