運動部デスク日誌

挑戦する美学

2020/11/7

 低迷期からリーグ3連覇の黄金期まで、カープを支えたベテランがチームを去る。35歳の小窪だ。球団から指導者を打診されたが、現役続行にこだわり、自由契約となった。6日に記者の取材に応じた。一問一答の全文は中国新聞デジタルでご覧になれます。
 小窪といえば、勝負強い打撃が浮かぶ。何度もチームを勝利に導いてきた。印象に残っているシーンに挙げたのは、選手会長を務めていた2016年の25年ぶりの優勝ではない。その前年の最終戦だという。
 勝てばクライマックスシリーズが決まった一戦を落とした。「もっと必死にならないといけない」と危機感を抱き、選手会長就任とともに主力選手に思いを伝えた。選手の本気度も増し、優勝できると思ったという。黄金期の基盤を築いたともいえる。
 貪欲な姿勢も印象に残る。入団3年目から、石井(現巨人コーチ)や内川(ソフトバンク)らが行う静岡県伊豆市での自主トレに志願して参加。当時トップ選手だった石井や内川に積極的にアドバイスを求めた。「絶対にレギュラーをとる」と、妥協することなく取り組んでいた光景を思い出した。
 そんな小窪だからこそ「可能性が1パーセントでもあるのなら挑戦したい」という、決断はうなずける。人柄とリーダーシップから、球団の打診を受諾したとしてもいい指導者になったと思う。あえて挑戦する美学を貫いた背番号4を、拍手で送り出したい。
(下手義樹)


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