運動部デスク日誌

29歳の引退

2020/11/11

 甲子園が泣いた、阪神・藤川の引退試合。詳しくは朝刊をご覧いただきたいのだが、スポーツ面にもう一つ、引退の文字を見つけた。サッカー女子日本代表GK、山根恵里奈の引退会見。まだ29歳だが「来年ピッチに立っているイメージが全く浮かばなくなった」という。決断理由も十人十色ということだろう。
 広島市南区出身。2014年の仁川アジア大会で取材した。しかし、意外にも「広島」という言葉に山根の反応は素っ気なかった。聞かれたくないようにすら感じた。その理由は彼女の両親の話で分かった。広島時代、目立つ存在であったが故に、いじめられることも多かったのだという。
 むしろ、サッカー選手としての彼女の原点は高校、社会人時代に過ごした「福島」であったようだ。エリート育成のために設立された「JFAアカデミー福島」の1期生に選ばれ、楢葉町のJヴィレッジで高校3年間を過ごした。卒業後は同じJヴィレッジを拠点とする東京電力でプレーした。東日本大震災のよる活動休止を経験。サッカーをやめることも考えたが、楢葉町の人々の励ましで、夢を諦めずにすんだのだと聞いた。
 今後について「自分のキャリアを還元できる仕事をしたい」と語った。GKの指導だけでない。波瀾万丈だった彼女のサッカー人生が、夢を追いかける子どもたちに訴えかけるものは多いだろう。藤川同様、セカンドキャリアが輝かしいものとなるよう願っている。(小西晶)


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