運動部デスク日誌

頑張れトラさん

2020/11/23

 22日、都市対抗大会が開幕した。この日ばかりは、社会人野球ファンのみならず、多くのカープファンも注目していたに違いない。第2試合に登場したトヨタ自動車の先発はドラフト1位の栗林。だが、私は対戦相手であるセガサミーのベンチを注目して見ていた。監督が元広島の西田真二さんだったからだ。
 「コニちゃん。東京行って社会人の監督やることになったわ」。西田さんから電話をいただいたのは昨年の12月だった。現役引退後は広島の打撃コーチなどを経て、2007年から13年間、独立リーグの四国アイランドリーグplus香川の指揮を執った。今年8月で60歳。「もう十分でしょう」と問うと、「いやいや。もう一回、一発勝負の緊張感を味わいたかったんよ」と苦笑した。
 いろんな野球人と出会ってきたが、西田さんほど勝ち運を持った人を見たことがない。大阪・PL学園高で夏の選手権を制覇。法大でも東京六大学、全日本大学選手権を制し、広島入団後は3度のリーグ優勝を経験した。香川でも独立リーグ日本一を果たした。社会人野球でも、就任1年目で都市対抗大会に導いた。「初優勝したいんよ」という言葉も、この人が口にすると単なる夢とは思えなくなるから不思議だ。
 「ミムさんが死んだって、ほんまか。ほんまか」。11年前、涙声でかかってきた電話を思い出した。目指す指揮官は三村敏之。それは社会人のユニホームを着た今も変わることはない。この日の試合後の勝利監督インタビュー。「やっぱり野球は守りですから」と胸を張った。堅守で優勝候補を破る大金星。「トラさん」の夢が確かに動き出した。(小西晶)


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