運動部デスク日誌

広島愛

2020/12/28

 サンフレッチェ広島の背番号「11」は、いまも空き番となっている。そのユニホームに再び袖を通すことなく、21年の現役生活にピリオドを打った。元サンフレでJ2千葉の佐藤寿人が現役引退を発表した。
 多くのサポーターと同じで、最初は耳を疑った。佐藤の少年時代のヒーローだった三浦知良や中山雅史のように、オファーがある限り現役を続けるものだと思っていた。また、最後はサンフレのユニホームで、との希望もあった。
 歴代最多のJ1、J2通算220ゴール。3度のリーグ制覇に、得点王にMVP。数々の金字塔だけでない。前面に出す「広島愛」が、多くのファンを引きつけた。
 J2降格が決まった試合でサポーターの前で即座に残留を表明し、1年でJ1に復帰すると約束した。広島を離れても、堂々とカープファンを公言。毎年8月6日にはSNSを通じて平和の大切さを訴えている。26日の引退会見では「ベストパサー」にサンフレの青山の名を挙げ、「もうパスをもらえない寂しさがある」と涙するシーンにも心を打たれた。
 取材で10年以上接してきた。一つ質問すれば、十になってかえってくるほど、どんなときでも丁寧に答えてくれた。ピッチを離れれば良きお父さん。子どもの試合や練習をうれしそうに眺めている光景はほほ笑ましかった。
 「行ってきますと言って広島を離れているので、いつかただいまと言える日を楽しみにしている」。ファンも同じ思いだ。できることなら、愛した広島で引退試合を開催してほしい。もう一度広島で、背番号「11」が見たい。
(下手義樹)


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