森下暢仁投手ロングインタビュー <上> ドラ1右腕、大器の予感
■「今は開幕を気にしていない。できることをやるだけ」
シーズン開幕が延期となっている今、広島東洋カープのファンが最もその勇姿を楽しみにしている投手かもしれない。ドラフト1位で入団した森下暢仁投手。150キロを超す切れのいい直球に、大きく曲がるカーブなど多彩な変化球。キャンプで抱かせた期待感は、オープン戦の投球で確信へと変わった。開幕を待つ22歳に意気込みを聞いた。
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―ペナントレースが始まらない中、調整の難しさはありますか。
自分としては難しさは特に感じていない。ブルペンでの投球では、自分の立ち姿や、投げるときに左足を真っすぐに出せているかなどフォームを確認している。感覚は悪くない。特に球数とかは決めておらず、自分が投げたいように投げている感じだ。
―焦りはありませんか。
もう今は開幕のことは気にしていない。今はできることをやるだけ。特定の日に向けて調整しているわけではない。大変なのはみんな同じだし、自分だけではない。一日一日を積み重ねている。
―練習中のグラウンドで見せる笑顔が印象的です。広島に来た当初は「緊張している」という言葉が多かったですが、今はリラックスできていますか。
本当にいいチームに入ったと思う。最初のころに比べれば、チームにだいぶ慣れた。ほぼほぼ緊張しなくなった。チームの雰囲気がとてもいいと思う。カープは野手も投手も協力してやっている。
―プロに入って、一番驚いたことは何ですか。
テレビに出ている人たちがいる。プロになったんだな、この人たちと野球をやるんだな、という気持ちになっている。プロ野球にきたんだと感じる。
―高校時代もプロ入りが注目されました。大学へ進学して良かったですか。
4年間で全てにおいて成長できた。人としてもそうだし、投げることもそう。けん制、フィールディング、球の質、ストレート、カーブ、カットボール、チェンジアップ。(明大の)善波(達也)監督から教わり、大学の日本代表、東京六大学のオールスターなどでも学ぶところはたくさんあった。
高校の時はめちゃくちゃプロ入りを迷っていた。ただ、(明大の先輩で中日の)柳(裕也)さんらいろいろな方の話を聞いて、最後は大学に行きたいとなった。全然遠回りではなかった。
―ドラフトでは、希望球団はあったのですか。
どのチームがいいとか正直、分からなかった。(指名が)あったところでいいかなと。そんなに深く考えていなかった。周囲の方に「福岡のチームなら地元だね」と言われることもあったが、全然そんな感じはしない。(故郷の)大分でなければ、関東も福岡も広島も同じ。
―大学とプロのトレーニング密度の違いは感じますか。
基本的なことや、やらないといけないことはプロの方が深いというのはある。トレーニングでも一つ一つの動きを考えてやっている。一つ一つが大事になる。大学時代に比べたら、体により気を使うようにもなった。
―キャンプの最初はブルペンで球が荒れていました。緊張が原因ですか。
あの時期、自分は何を考えて投げていたのかな。あまり分からないが、多くの人に「慌てるな」とか「入ってすぐに飛ばしてやる必要ない」とか言われていた。周りは周り、自分は自分と思っていた。
―ブルペンに入るたびに状態が上向いてきたように見えました。
良くなってきたんですかね。ただブルペンに入っている、という感じだった。ブルペンではそんなに考えてやるタイプではない。感覚がどうかなというふうに確かめてやっている。いい球がいっていても、試合でマウンドに上がったら、いい球がいかないというのがあるので。投げ込まないといけない時は投げ込むし、打者を想定して投げる時は投げないといけない。その時その時で、違う感じでやっている。
―オープン戦の投球で、首脳陣から高評価を得ました。プロで通用するイメージはありますか。
シーズンが始まらないと分からないことがたくさんある。1年かけて、自分は通用するな、今はだめだな、というのが分かると思う。シーズンに入って、自分がどれだけやれるかが評価される。なので、まだ全然分からない。(五反田康彦)
もりした・まさと 1997年8月25日生まれ。大分市出身。180センチ、76キロ。右投げ右打ち。大分商高から明大へ進み、昨秋のドラフトで広島から1位指名された。東京六大学リーグで通算15勝12敗。昨年の全日本大学選手権では明大を優勝に導いた。かつては佐々岡真司監督が背負い、2015年までは前田健太(ツインズ)が付けていた背番号18を託された。
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