カープ

初采配16の足跡 コイ歴代監督、栄冠や苦闘

2020/6/18

 2020年の広島は「初采配」への興味も尽きない。佐々岡真司新監督は、延期された開幕を待つ間、じっくりとナインの仕上がりを見極め、いざ戦いの舞台へ踏み出す。過去70シーズン、歴代16人の監督が果たせなかった「就任1年目の日本一」へ―。球団史上初への挑戦が幕を開ける。

 ▽コーチ経験生かしV 古葉・阿南

 1975年の古葉竹識監督と86年の阿南準郎監督は、1年目でいきなりリーグ制覇を遂げた。2人の共通項は、コーチとして優勝を味わい、勝ち方に通じていた点であろう。古葉は73年にパを制した野村克也監督に師事し、阿南はその古葉体制下で4度のVを経験している。

 佐々岡監督も2016〜18年のリーグ3連覇に、2軍投手コーチとして携わっている。17年には1、2軍の同時優勝、球団初のファーム日本一にも輝いた。育成重視の我慢強い投手起用から、勝利優先の当意即妙な選手起用へ。不慣れな攻撃面での決断を含め、待ち受ける課題は少なくない。

 右も左も分からぬ監督1年目、苦難と無縁ではいられまい。カープ育ての親、1950年の初代石本秀一監督は勝率3割足らずで8球団中8位に終わり、73年の別当薫、74年の森永勝也(72年は代理)の両監督も最下位に沈んだ。古巣の巨人戦に闘志を燃やした53年の白石勝巳監督、競争で底上げを図った61年の門前真佐人監督、投手出身である66年の長谷川良平(65年は代理)監督も上位進出はかなわなかった。

 ▽根本・ルーツ 組織の礎を築く

 草創期からの歩みで、68年の根本陸夫監督が果たした球団初の3位は目を見張る。投打にわたり、一貫して若手を積極起用。「組織づくりの名手」が残した足跡にも、重要なヒントが垣間見える。組織づくりの観点では、75年のジョー・ルーツ監督はチームを「ファミリー」と呼んで一体感を重んじ、V1の礎を築いた。

 平成以降の新監督たちも1年目には苦戦した。その多くが投手力不足に悩まされた。94年の三村敏之監督、99年の達川晃豊監督、2010年の野村謙二郎監督は、いずれもチーム防御率が4点台。06年のマーティー・ブラウン監督は先発の頭数が足りず、守りの野球の基盤が揺らいだ。

 「令和の投手王国」へ。ペナントレースを勝ち抜くには投手層の厚みという量が求められ、日本一への短期決戦もにらめばエース級の質が物を言う。現役時代に先発100勝と100セーブを挙げた新指揮官は、どんな投手起用を見せてくれるのだろう。

 円熟味を帯びた野手陣の顔触れを見る限り、1年目から勝負のシーズンとなろう。1989年の山本浩二監督のように、開幕ダッシュができるかもしれない。2015年の緒方孝市監督のように、出遅れるかもしれない。結果はもちろん大事だが、2年目以降にリーグを制した両監督に倣う長期的なチームづくりも欠かせない。

 佐々岡監督は「ファンに愛されるチーム」を掲げる。広島のファンは全力を愛し、仲間との協力を愛し、最後まで諦めない努力を愛する。優しさに満ちた新指揮官が、厳しく引き締めてカープの魅力を継承できるかどうか。その手腕に注目である。(山本修)

 【注】監督名の後は1年目の成績


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