カープ

【カープ70周年 70人の証言】<61>2010年 浅井樹さん(49)

2021/2/2 23:13
浅井樹さん

浅井樹さん

 ▽タク、思い出すと熱いものがこみ上げる

 2010年4月2日、マツダスタジアムは午後6時の試合開始を控え、巨人ナインがシートノックに励んでいた。広島の打撃コーチは、5連敗阻止へ一塁ベンチ裏でスイング指導。「前田(智徳)の叫び声が響いた。『おい、タクが倒れたぞ』って」。グラウンドへ飛び出すと、本塁付近に異常事態を示す人だかり。巨人の木村拓也内野守備・走塁コーチが、あおむけで横たわっていた。

 駆け寄り、医師の指示で点滴のパックを持つ。かすかな呼吸が聞こえるが、ぴくりとも動かない。「ボールが当たったんかなと思った。巨人の緒方(耕一)コーチに『体調が悪かったんですか』って聞くと、思い当たる節はないと…」。救急車へ運ばれる姿を祈る思いで見送った。くも膜下出血だった。

 一つ下の木村拓は37歳。気心が知れ、カープ時代は「ほぼいつも一緒。キャッチボールの相手だったし、食事やゴルフも行ったし、家族ぐるみで近所付き合いしていた」。左の代打の切り札と、内外野どこでも守れる万能選手。レギュラーへあと一歩の境遇も似ていた。木村拓が巨人へトレード移籍した06年、自らは現役を退いた。

 倒れた木村拓は、広島大病院(広島市南区)の集中治療室へ入った。球団からは「広島でのリハビリになるだろう。支えてやってくれ」と頼まれた。もちろんそのつもりだったが、刻々と状況は厳しくなる。「社会復帰は難しいかもと聞かされ、最後は駄目かもしれないって…」
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  • マツダスタジアムで広島ナインにあいさつする巨人の木村拓コーチ(2010年4月2日)
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