コラム・連載・特集

児童見守り、どう継続 新潟女児殺害でボランティアにも衝撃

2018/5/22 0:00
下校時の児童を見守る「イエローレモン隊」の中谷隊長(右端)たち隊員

下校時の児童を見守る「イエローレモン隊」の中谷隊長(右端)たち隊員

 小学2年女児が殺害された新潟市の事件は、登下校の児童を見守る広島市内のボランティアにも衝撃を与えた。安佐北区の無職男性(79)は「頑張らなければと思うが、住民が高齢化して通学路に立てる人は減っている。どうすれば子どもの安全を守れるのか」と編集局に声を寄せた。

 この男性が役員を務める見守りグループは2004年に90人で発足したが、いまは約70人。「高齢でやめたいと言ってくる人ばかり。引き留めるので精いっぱい」。自身も腰を痛め「いざというときに子どもを守れる自信がない」と漏らす。

 ▽60歳以上が8割

 広島県警生活安全総務課によると、県内の防犯ボランティアは、05年に安芸区で起きた小1女児殺害を受けて急増。ピークの10年には5万1854人を数えたが、その後は減少傾向にある。17年はピーク時より約1万人少ない4万1917人。うち8割が60歳以上だ。

 全国子ども見守りボランティア協議会(金沢市)の平寿彦代表理事(71)によると、担い手不足は全国的な課題という。「学年ごとに下校時間帯が違い、見守りは一日2時間かかる重労働。高齢者に雨の日も風の日も歯を食いしばってやれ、とはこれ以上は言えない」

 担い手を増やす鍵はあるのか。会員数650人を誇る佐伯区八幡東学区の「イエローレモン隊」の中谷克己隊長(52)に尋ねた。「毎日通学路に立つ隊員がいる一方で、都合のつく日、時間帯だけでもOK」。活動を継続するには、住民の負担感を減らすことが大事なようだ。

 同学区では、買い物の行き帰りに「防犯パトロール中」と記したバッグを提げて歩く人も目立つ。中谷隊長は「防犯意識の高さを見せつけ、犯罪者が寄りつきにくい街にしたい」と狙いを語る。

 防犯に詳しい福山大の平伸二教授(犯罪心理学)は、限られた人数で効率的に児童を守るための工夫を説く。下校時に1人になるルートに人を置く▽死角を減らすため草刈りをし、路上駐車を減らす▽防犯カメラや「カメラ稼働中」の看板も有効に使う―などだ。

 ▽「外出が監視に」

 その上で、多くの人ができる範囲で見守りに携わることが大事という。「例えば、下校する午後3〜6時に住民ができるだけ屋外に出るようにすれば、それだけで不審者監視になる。買い物や散歩、庭の手入れなど何でもいい」と助言する。

 長年続けることにも意味があると強調する。「役立っている実感が薄い人もいるはず。でも、10年続ければ子どもは20歳。大学で学生に聞くと『見守ってもらった』と覚えている」と平教授は言う。

 市内では、広島経済大(安佐南区)の学生や山陽高(西区)の野球部員が、近くの小学校の通学路に立っている。平教授は「見守られた子たちが親になり、子どもを見守る側に回る循環が生まれたら、将来の地域の安全につながる」と力を込める。

この記事の写真

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 「こちら編集局です あなたの声から」では、みなさんが日ごろ「なぜ?」「おかしい」と感じている疑問やお困りごとなどを募っています。その「声」を糸口に、記者が取材し、記事を通じて実態や話題に迫ります。以下のいずれかの方法で、ご要望や情報をお寄せください。

  • LINE公式アカウント

    LINE友だち登録またはQRコードから友だちになってトークをしてください
  • 郵送

    〒730-8677
    広島市中区土橋町7-1
    中国新聞社
    「こちら編集局です」係

    ファクス

    中国新聞編集局
    「こちら編集局です」係
    082-236-2321
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

こちら編集局です あなたの声からの最新記事
一覧

パートナー社

  • 中国新聞「こちら編集局です あなたの声から」は、双方向型の調査報道に取り組む全国のパートナー社と連携協定を結んでいます。記事をお互いの紙面やウェブサイトに掲載したり、情報の取り扱いを十分に注意した上で取材・調査テーマを共有したりします。地域に根を張るローカルメディアがつながり、より深く真相に迫っていきます。

北海道新聞 東奥日報 岩手日報 河北新報 新潟日報 東京新聞 信濃毎日新聞 中日新聞東海本社 岐阜新聞 京都新聞 神戸新聞 まいどなニュース 徳島新聞 西日本新聞 琉球新報