「被災地で託児を」切実 西日本豪雨、臨時園など支援の動き
「自宅の土砂を早く片付けたいが、幼い子がいるので作業が難しい。安心して預けられる所が欲しい」。切羽詰まった様子が、受話器越しに伝わってきた。3人の子育てに励むお母さんからの電話だった。被災地からのSOSを聞き、早速調べてみた。
編集局に声を寄せてくれたのは、広島県坂町坂西のパート岡廻優子さん(35)。坂小3年、1年、保育園児の3人を育てる。坂小は災害の影響で夏休みが17日に前倒しされた。留守家庭の子を受け入れる地元の児童館も休止している。
■屋外は不衛生
自宅敷地には大量の土砂が入った。片付けに専念したいが、子どもたちが家にいるとはかどらない。でも「外で遊んでおいで」とも言えない。屋外は土ぼこりが舞い不衛生だ。生活道には土砂やごみが積もって危ない。
勤め先の厚意で休ませてもらっているが、生活再建のためにも早く働きたい。「夏休み中、子どもたちはどこで過ごせばいいのでしょう」
被災地で取材すると、他のお母さんたちも口々に訴えた。「災害前は1人で留守番できた子どもが、今は1人になると不安がるので働きに出られない」「小さい子がいると地域の復興作業を手伝えず、肩身が狭い」―。自分たちがフル稼働して頑張るためには、子どもが安全に過ごせる場所が不可欠という。
一方で親のニーズに素早く気付き、支援する動きも出ている。焼山こばと幼稚園(呉市)は17日から、安芸区の矢野東集会所で臨時園を開き、17人を受け入れている。
災害後、安芸区―呉市の渋滞がひどく園バスが出せず、車が被災し送迎できない親もいたため急きょ決めた。水原紫乃園長は「子どもが伸び伸び遊べることで親の心労も和らぐはず。力になりたい」と話す。
■土砂かき対応
美容サロンなどを手掛けるフローレグループ(中区)は被災地の安芸区矢野東で、子ども食堂と学習支援を今月末から始める。地元に住む同社役員太田郁恵さん(36)が、支援の必要性を実感したからだ。
7歳と5歳の2児の母親である太田さんは「被災者の生活を支えるスーパーや病院で働く親もいる。子どもの預け先があることは地域のためにもなる」と力を込める。同社は18日、運営ボランティアを募り始めた。
狩留家災害ボランティアセンター(安佐北区)は土砂かきをする人のための託児を地元の集会所で始めた。センタースタッフの三宅典子さん(38)=安佐北区=は「各地のボランティアセンターに託児があれば助かる人が多いはず。各地に広がってほしい」と話している。
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