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花こう岩、広島県南部に集中 「西日本豪雨で被害。いつできて、どこにあるの」

2018/10/3 0:00
県を中心とした日本シームレス地質図。着色部分は全て花こう岩で、できた年代によって色が異なる

県を中心とした日本シームレス地質図。着色部分は全て花こう岩で、できた年代によって色が異なる

 ▽流紋岩でも土砂崩れ

 「花こう岩はいつ頃できたんですか。広島県内の分布状況は」。西日本豪雨で12人の犠牲者が出た熊野町の男性から編集局にメールが届いた。県内は花こう岩が風化してできた「まさ土」が広がり、各地で起きた土砂災害の一因と指摘されているからだ。被災地を調査している専門家に、花こう岩の特徴や災害が拡大した要因を聞いた。

 同町川角5丁目の団地「大原ハイツ」では、背後の三石(みついわ)山から土石流が流れ込んだ。「たくさんの方が亡くなって…。人ごととは思えんのです」。1キロほど離れた同町東山の住宅地に暮らす恵美勇作さん(75)は心配する。

 ■1億年前に生成

 花こう岩はマグマが地下深くで固まり、約1億年前から約6500万年前までの白亜紀後期にできたものが多い。石英などを主体に黒雲母などさまざまな鉱物から成る。

 「温度差で鉱物同士の結び付きがほどけ、水が染み込んで風化が進むと、ばらばらになりやすい」と広島大大学院の後藤秀昭准教授(地理学)。ばらばらになったのがまさ土だ。水を含むと非常にもろく、崩れやすい。

 ■県内4割に分布

 花こう岩の分布状況は、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)がホームページで公開している「日本シームレス地質図」で分かる。県内では地盤の4割が花こう岩とされ、南部に多い。白亜紀後期にできた花こう岩が隆起したためだ。

 ただ今回は、風化を免れた花こう岩の巨石「コアストーン」も被害拡大の要因になった。斜面の表層が大規模に崩れ、より深い層にあった巨石群が流れ出た。住宅や砂防施設を破壊したほか、道をふさいで復旧作業を妨げた。三石山には5メートル級のコアストーンが頂上付近などに残る。

 一方、後藤准教授は「花こう岩やまさ土だけが危険なのではない」と強調する。調査の結果、県南部で発生した約7700カ所の土石流のうち、4割は花こう岩以外の地質で起きていたからだ。中でも多かったのは流紋岩の地質だった。

 流紋岩は地下深くでできる花こう岩と異なり、地表近くで急激に冷え固まってできる。構成鉱物は花こう岩とほぼ同じで、風化しやすい。今回のように強い雨が長時間続けば、花こう岩以外の地質でも土砂崩れが起きることが明らかになった。

 後藤准教授は「花こう岩や流紋岩の分布範囲全てを砂防施設でカバーするのは困難。早めの避難などソフト対策を組み合わせて対応するしかない」と話す。

この記事の写真

  • 東広島市の土石流発生現場で後藤准教授が採取した花こう岩(手前)。奥は流紋岩

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