可燃ごみ、ポリ袋OK 広島市方針、原則紙袋を変更
広島市が、家庭の可燃ごみの出し方について、紙袋に入れて出すルールを変更し、紙袋とポリ袋いずれでもいいとする方針を固めたことが20日、分かった。ポリ袋でも衛生面を考慮して収集するケースがあり、原則を守っている市民から苦情が出ていた。1976年6月に定めて以降、初の見直し。近くホームページや広報紙などで周知を始める。
可燃ごみの出し方のルールは、市一般廃棄物処理実施計画に基づいて決めている。現在、収集場所に「丈夫な紙袋に入れて出す」のを原則としている。
市によると近年、雨の日にごみを入れた紙袋ごとポリ袋に入れたり、汁が出る生ごみをポリ袋に包んだ後、紙袋に入れたりするケースが増加。市はこうした出し方でも「例外的な措置」「衛生面から放置できない」として収集している。
また、ルールを定めた当初は、ポリ袋を焼くと焼却炉内が高温になって傷む恐れがあったが、現在は清掃工場の更新によって焼却炉の能力が上がり、問題はなくなっている。
それでも市は「紙袋であれば生ごみの水切りをする動機付けになり、ごみの減量効果が期待できる」などとしてルールを見直さなかった。一方、収集業務は弾力的に運用していた。
松井一実市長は20日の記者会見で、ごみ出しの現行ルールと実態が乖離(かいり)しているとの指摘に対し「市民目線で実態に合わせたルールにすべきだ」と見直す考えを示した。
▽LINE意見続々 「ものすごく早い展開」に驚き/「声上げること無駄じゃない」
「こちら編集局です―あなたの声から」に寄せられた疑問が、広島市を動かした。松井一実市長が「ポリ袋容認」の方針を示した20日、無料通信アプリLINE(ライン)に友だち登録した読者に受け止めを尋ねた。午後8時までに115人から意見が寄せられた。ルールを見直す方針を固めた市の姿勢を評価する声に加え、市民のごみ問題への意識の深まりを期待する声も出た。
可燃ごみの出し方については7日、このコーナーでルールの曖昧さを指摘する声を紹介した。
「ものすごく早い展開。市民の声にスピーディーに応えてもらえた」と驚くのは、西区の主婦高橋望美さん(45)。残飯を新聞紙で包んでも水気が紙袋の外に染み出し、苦労していただけに「もう悩まなくて済む」。東区の主婦(35)も「声を上げることは無駄じゃないんだな」と喜んだ。
違反を承知で、ポリ袋で出していた市民も好意的に受け止めた。「臭いに耐えかね、後ろめたい思いでポリ袋に生ごみを入れていた」。中区の主婦(50)はそう明かし、実態に即したルール見直しを歓迎する。
分別やごみの減量につながる、との声も。東区の事務員女性(57)は「紙袋は中が見えないので適当に捨ててしまう。中が透けて見えるポリ袋の方が分別に気を付けるかもしれない」。佐伯区の看護師女性(36)も「わざわざ紙袋を買うより、ごみとして捨てていた余ったレジ袋を使う方がいい」と意見を寄せた。
一方で、逆の意見もあった。西区の自営業竹田晶子さん(46)は「ポリ袋だと、水気を切らずに出す人が増えないか」。佐伯区の会社員田中友和さん(42)は「ポリ袋OKになると、見た目で可燃ごみと不燃ごみの区別が付きにくくなり、ごみ出しのマナーを守らない人が出てくるのでは」と懸念する。
ごみ行政に市民の意見をもっと反映させたいとの声も目立った。西区の主婦松本美奈子さん(47)は「アンケートなどで定期的に市民の意見を吸い上げてほしい」。中区の社会科講師佐藤恵さん(34)は「行政だって手が回らないこともある。不合理だと思えば、市民が率直に問題提起することが必要ではないか」と投げ掛けた。
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