スマホ容認、生徒や保護者ら歓迎 ネット依存対策を求める
本コーナーで、スマホ持ち込みを禁止する広島県教委の方針に対する読者の声を取り上げてから2週間。容認を求める声や慎重論などさまざまな見方がある中、県教委は12日、持ち込み容認にかじを切った。生徒や保護者、教員からは歓迎の声に加え、インターネット依存への懸念も上がった。
「持ち込みがばれないようにするのに疲れていた。認められたら、罪悪感なく使える」。県立高3年の女子生徒(18)=広島市安佐南区=は話す。交通事故に遭った経験もあり「近くに公衆電話がなく、スマホがないと助けを呼べなかった。いまは必須だと思う」。
高校1年の娘を持つ福山市の会社員女性(55)は「こちら編集局」宛てに「世論に押され仕方なく、という印象を受ける。遅すぎたのでは」と声を寄せた。県教委には「『何でも駄目』でなく、生徒の自主性を重んじてほしい」と注文する。
11月末、県教委に持ち込み容認を要望した県高校PTA連合会(中区)も、短期間での方針転換に驚きを隠さない。伊福聡会長(55)は「違反を承知で、安心のためスマホを持たせる親は苦しい思いだった。教育長には保護者に近い目線で判断してもらえた」と喜ぶ。
学校現場では、懸念と期待が入り交じる。広島市内の県立高の50代男性教諭は「交通網が寸断した西日本豪雨後も臨時の持ち込みOKが認められなかっただけに、驚きはある。ル―ル順守を指導しつつ、黙認もする『二枚舌』をしなくても済む」と受け止める。
一方で、登下校時の使用もOKとなることで「ネット利用がより長時間になる生徒も出かねない。うまく指導できるだろうか」と頭を悩ませる。別の50代男性教諭もネット依存を懸念しつつ、「生徒の安否確認には役立つ。ネット上でのいじめの問題などスマホとの付き合い方を議論する教育にも取り組みやすくなる」と見据えた。
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