「三次の給食、調理場再編でどうなるの」 食材は市内の調達優先
▽住民意見の反映望む声
「地産地消の給食の良さが、調理場の再編で失われるかもしれない。これからどうなるの」。三次市の川地小に通う小4の娘がいる同市上川立町の自営業原田健次さん(47)が、無料通信アプリLINE(ライン)でこんな声を寄せた。市教委が昨年公表した、学校給食調理場再編基本計画案に対する懸念だ。現在の耐震基準や学校給食衛生管理基準を満たさない老朽施設を解消するための整備。どんな計画なのか探ってみた。
市内には現在、小中学校へ給食を提供する共同調理場10カ所と、十日市、川地の2小に併設する調理場の計12施設がある。5中では、弁当のデリバリー給食を実施している。
再編案では、粟屋、三次、八次、田幸の4共同調理場と、十日市、川地小の2調理場を、東酒屋地区に新設する共同調理場に集約し、5中のデリバリーはやめ、そこから給食の提供を受ける。君田、布野、作木、吉舎、三和、甲奴の6共同調理場は残す。市教委は再編を、全ての児童・生徒に可能な限り同じ条件で給食を提供するためとする。
▽計画数は4千食
新共同調理場の計画食数は4千食とし、調理と配送は民間に委託する考え。原田さんは、この規模を危ぶむ。「子どもが通う川地小では、地域の生産者に協力してもらい、野菜を育てた人の顔が見える給食を提供している。子どもは食の大切さや感謝の気持ちを学び、農家はやりがいを感じる。地域の輪ができている。調理場の大規模化で、効率が優先され、顔が見える食材を使うことができなくなるのではないか」
この点を市教委学校教育課に問い合わせると、古矢俊彦課長は「市内で調達できる食材は、市内の業者や生産者を優先する。三次産米を100%使い、野菜などの地産地消率も30%を目指す」と説明。ではどうやって、地元を優先した食材を調達し、きめ細やかな対応をするのか。「今考えているところ」と市教委。具体案は決まっていないという。
原田さんは、食物アレルギーへの対応も気になる。古矢課長は「今でも国の基準に基づき、対応している。新調理場でも変わらない」と話す。
▽保護者へ説明会
再編計画案について、市教委は昨年春、市議会に説明し、現在、保護者向け説明会を開いている。長田瑞昭教育次長は「よりよい内容にするよう広く意見を聞きたい」とする。住民の意見をどう取り入れ、具体的に再編案を詰めていくか、今後の計画の進め方やスケジュールは未定という。
食育の重要性が広く浸透する中、子どもが口にする給食に対する保護者の関心は高い。原田さんが「当事者である保護者や生産農家の意見を反映した内容にしてほしい」と訴えるように、市教委は計画ありきでなく、住民の意見にじっくり耳を傾ける必要があるだろう。場合によっては大幅な修正も含め、住民が納得する最終案を作り上げる責務がある。(佐々木裕介)
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