「投票率アップへ有効な工夫や改善は」 政治の魅力や信頼高めて
投票率を上げるにはどんな工夫や改善が有効でしょう―。7月4日公示、21日投開票が有力視される夏の参院選を前に、中国新聞が「こちら編集局です―あなたの声から」の無料通信アプリLINE(ライン)で尋ねたところ、127人が計154件の意見を寄せた。政治の魅力や政治家の信頼度の向上を求める意見が44件で最も多く、投票の特典付与や投票機会の拡大を求める声も上がった。
「将来の見通しや生活が良くなる希望がなければ、投票率は上がらない」とみるのは、福山市のパート従業員橘高かおりさん(54)。自身は投票に行っているとした上で、政治に期待できない現状が投票率の低下傾向の背景にあると指摘。老後に夫婦で2千万円の蓄えが必要と試算した金融庁の報告書を例に「働く必要があるのに、働く環境は整備されていない」と説く。
今回、意見を募ったのは7〜13日。自由記述の内容を分類したところ、橘高さんの意見をはじめ「政治の魅力や政治家の信頼度の向上」が44件と、全体の3割を占めた。「与野党ともに国民のための審議をしていない」「本音では、投票率が上がらない方が有利と思っている政治家もいるはず」などの声が上がった。
政治家の顔が見える工夫を求める声もある。広島市安芸区の主婦古山裕子さん(52)は「街頭での演説は、まるで台本を読んでいるかのよう。候補者同士が同じテーマで討論している姿が見られれば、人となりが伝わりやすい」と提案する。廿日市市の主婦古池由美さん(55)は「政治家と直接触れ合って人柄を感じる機会が増えれば、この人に託したいと思える」と答えた。
次いで多かったのが「投票者への特典」の24件。安芸区の教員金沢聡一郎さん(28)は、投票を終えた人が自治体から受け取れる証明書を示せば、飲食店や美容室で料金の割引などが受けられる「選挙割り」の充実を提起し「投票に行く楽しみがあれば、関心を呼び起こしやすくなる」と訴える。「投票で何か当たるなどの荒療治が必要」「投票した人は税金を安くする」といった声も届いた。
「投票所の増設」が19件、「インターネット投票の解禁」が16件で続き、より投票しやすい環境づくりを促す意見は根強い。
南区の会社員元田美幸さん(59)は「投票はわざわざ行かないといけない心理的なハードルがある」と指摘した上で、学校やスーパー、会社、コンビニなど街の至る所に投票所がある環境づくりを願う。西区の主婦佐々木恵美さん(51)は「マイナンバーを生かし、スマートフォンやパソコンで投票できる仕組みを築いてほしい」と要望する。
その後は「選挙啓発の強化」16件▽「選挙制度の変更」13件▽棄権した人の税金を増やすなどの「棄権者への罰則」7件▽「その他」15件―の順となった。
選挙啓発の強化では、尾道市の会社員守田圭祐さん(52)が「子どもの頃から校則などを投票で決めるなど、選挙を身近な存在にする必要がある」と求める。選挙制度の変更では「投票率が50%を下回る選挙は無効とする」「落選させたい人に投票できる制度を導入する」などが上がった。(中川雅晴、木原由維)
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