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「左足でブレーキ」あり? 右足前提で車設計、危険も

2019/7/9 21:15
安佐南区の男性は右足でアクセル、左足でブレーキを踏む

安佐南区の男性は右足でアクセル、左足でブレーキを踏む

 車のアクセルとブレーキの踏み間違いが原因とみられる重大事故が全国で相次ぐ中、読者からこんなメールが編集局に寄せられた。「どちらも右足で踏むからいけない。ブレーキを左足で踏むようにすれば間違いは起きない」。理にかなっているように思えるが、問題はないのだろうか。

 広島県警によると、アクセルとブレーキをどちらの足で踏むかは道交法などに明確な規定はなく、左足でブレーキを操作しても法令違反にはならない。メールを寄せた広島市安佐南区の男性(86)は「もう30年近くオートマチック車に乗っているが、ブレーキは左足。危ないと思ったことはないですよ」と力説する。

 実際に男性が運転する車に乗せてもらった。道路脇を走行する自転車を追い抜く際、左足でブレーキを踏んでゆっくりと減速。通り過ぎると右足のアクセルで加速する。乗り心地は安定している。

 ただ、記者自身が安全な場所で愛車を使って試すと、力加減が分からず急ブレーキがかかった。右寄りにあるペダルを踏むのに下半身を微妙にひねる体勢に違和感を覚えた。

 編集局には、左足ブレーキの危険性を指摘するはがきも届いた。差出人は竹原市の自営業男性(59)。「アクセルを踏み続けているはずの上り坂で、ブレーキランプがたびたび点灯する車を見掛けた。左足でブレーキを踏んでいるに違いない。後ろを走る車が混乱するのでやめてほしい」

 自動車学校ではどう教えているのだろうか。警察庁の指導を受けて全日本指定自動車教習所協会連合会(東京)が作成している指導要領例には、右足でアクセルとブレーキを踏み換える方法が明記されている。

 可部自動車学校(安佐北区)の教習指導員寺本和也さん(35)は「右足でアクセル、左足でブレーキを操作すると、とっさに両方踏み込んでしまう恐れがあり、危険。左足を床に置いておくことで運転姿勢も安定する」と説く。一方で、「左足でブレーキを踏む人は、高齢者講習などでたまに見掛ける」とも明かす。

 自動車メーカーにも聞いてみた。マツダの広報担当者は「基本的に、アクセルもブレーキも右足で踏むことを前提に設計されている」と説明。踏み間違いによる事故防止に向けて技術を追究しているが、左足ブレーキを前提にした開発の動きは「今のところない」という。

 道交法は、「ブレーキなどを確実に操作し、他人に危害を及ぼさないような方法で運転しなければならない」とドライバーに義務づけている。警察も教習所もメーカーも想定していない運転操作では、安全を保証できない。左足でのブレーキ操作は、現状ではお勧めできない。(石井雄一)

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