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なお止まらない車多数 「信号のない横断歩道」で停車ワースト2

2019/7/26 21:37
三川町交差点で横断しようとする歩行者と通過する車=18日午前8時(画像の一部を修整しています)

三川町交差点で横断しようとする歩行者と通過する車=18日午前8時(画像の一部を修整しています)

 信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている時に車が止まる割合は、広島県が全国ワースト2の1・0%―。こんな日本自動車連盟(JAF)の調査結果を紙面で伝えて以降、「恥ずかしい」(広島市安佐南区の70代男性)「マナー向上へ道路標示を改善できないのか」(安芸区の40代男性)などといった声が無料通信アプリLINE(ライン)で編集局に寄せられた。現場に出て、実態を調べてみた。

 広島市中区三川町の信号機のない横断歩道で、通勤通学者が多い朝夕に調査。18日は午前7時半〜8時半、19日は午後3時半〜4時半に、歩行者が横断歩道を渡るか渡ろうとしている時に車が一時停止するかどうかを1台ずつ確認した。2日間で通り過ぎた計79台のうち、一時停止したのは47台。停止率は59・4%だった。

 西区井口1丁目の信号機のない横断歩道でも19日午後3時半〜4時半に同様の調査を実施。17台のうち、止まったのは13台で停止率は76・4%だった。いずれもJAFの調査結果と比べると、停止率は高かった。

 道交法によると、歩行者が横断歩道を渡るか渡ろうとしているときに停止しなければ、同法違反(横断歩行者等妨害)となる。今回の調査では、止まるどころか減速さえせずに通り過ぎる車も多く、中区の50代主婦は「止まってくれないと思っておかないと、こちらが危ない」と嘆いた。止まらない車がいると、その流れに乗るように連なって走り去る車も目立った。

 こうした中、横断歩道を渡る歩行者が被害者となる自動車事故は後を絶たない。昨年は282件発生し、歩行者12人が死亡。今年は6月末までの上半期で128件発生し、1人が亡くなった。7月も、佐伯区で横断歩道を歩いていた90代の女性が車にはねられて死亡する事故があった。

 ▽県警は取り締まり強化中

 JAFの調査結果を受けて県警はどう対応してきたのか。県警は今年、「横断歩行者等妨害」を交通違反取り締まりの重点に加え、全26署で摘発を強化している。1〜6月の同容疑での交通反則切符(青切符)の交付件数は914件。544件だった前年同期の1・7倍に上る。県警交通指導課は「横断歩道での歩行者保護の意識はドライバーとして最低限守るべき基本。その意識をしっかり持ってもらうことがあらゆる場面での注意や気付きにつながる」と狙いを説明する。

 編集局には、ドライバーへの啓発のため、「『ゆずりあい』などと道路に標示してもらうのは可能か」との提案もあった。県警交通企画課に尋ねると、「最寄りの署などに相談してもらえれば必要に応じて調査し検討する」と答えた。

 記者による調査では歩行者の安全意識の低さも目に付いた。スマートフォンを操作しながら渡ったり、横断歩道の外側を渡ったり。ドライバーはもちろん、歩行者もルールを守り、悲惨な事故を一件でも減らしたい。(池本泰尚、湯浅梨奈)

 <クリック>信号機のない横断歩道でのJAFの調査 歩行者が横断歩道を渡ろうとする際に、車が一時停止する割合を47都道府県で調査。昨年8月15日〜9月13日の平日1日の日中に、中央線のある片側1車線の道路を対象に各都道府県2カ所で実施し、広島は全国ワースト2の1・0%だった。道交法は、車は横断歩道を渡るか、渡ろうとしている歩行者がいるときは一時停止し、その通行を妨げてはならないと定める。

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