コラム・連載・特集

【月刊E・9月号】続・賢いダチョウになろう

2019/9/9 7:00

 30年近く前の話。いつものようにタクシーに乗り、運転手さんに「比治山のホーエーケンへ」。たいてい一つ返事なのに、その日は「はて、どんな字ですか?」と返ってきた。

 (おっと、そうか、きょうは新人さんだな、さては、どこかの中国料理店だと勘違いしたんだな)

 以来、申し訳ないので「比治山の上の…」と丁寧に告げるように心掛けてきた。

 放射線影響研究所、略して放影研(広島市南区)。原爆が人間の健康に及ぼす影響を解明してきた世界的権威である。運と実力次第で国内外を駆け巡る特ダネに出合うこともある。しょっちゅう取材に通い、同業他社の記者たちとしのぎを削った。

 比治山を上る行きはタクシーを使うが、帰りは森の小道を歩き、麓に下りるのを日課とした。「まあ、次があるさ」と気を取り直すミニハイキングになることばかりであった。

 さて、くどくど私事をつづったのは、ここで皆さんに、NHK番組の人気者チコちゃん=永遠の5歳=ふうに質問を発してみたかったから。

 「ねえねえ、なんで放影研の前身である米国の原爆傷害調査委員会(ABCC)は、わざわざ山の上に拠点を構えたの?」

 チコりたい(正解を当てたい)なら、答えはこんな感じか。
(ここまで 501文字/記事全文 1922文字)

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  • 完成から70年近く経過し、中心市街地への移転が課題となっている放射線影響研究所=広島市南区(撮影・高橋洋史)
  • 比治山の麓にある1965年6月の土砂災害の慰霊碑(広島市南区)
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