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土地信託事業などテーマに論戦 広島県議会一般質問見どころ
広島県議会は20日、一般質問に入る。24〜26日を含む4日間で5会派の計12人が登壇し、県政の懸案などを巡る湯崎英彦知事のスタンスをただす。主な論戦のテーマには、3月末時点で73億1300万円の借金が残る土地信託事業や、広島市内最大級の被爆建物で県が大半を所有する旧陸軍被服支廠(ししょう)=広島市南区=の保存・活用が見込まれる。論戦の見どころを展望した。
■土地信託事業 問われる公金穴埋め
バブル経済の真っただ中だった1988〜89年、県有地を活用して収益を生もうと計画された土地信託事業。ばら色の不動産活用を描き、広島市中区の中心部に広島クリスタルプラザ、福山市のJR福山駅前にエストパルクが完成したが、見込み通りの収入は得られず、借金を抱え込んだ。
県は近年の不動産市場の活況を踏まえ、2棟の建物と土地に買い手がつく可能性が高いと判断。事業を清算する方針を決め、開会した定例会に関連する2019年度一般会計補正予算案を提出した。売却による収入で借金を少しでも減らす方向にかじを切った。
一般質問では、最大会派の自民議連(33人)と第2会派の民主県政会(14人)、自民党広志会・つばさ(7人)の県議が取り上げる構え。信託期間の満了まで残り2年前後というタイミングで売却を決断した理由や、事業の総括を求める意見などが出そうだ。
土地と建物の売却額の目安となる不動産鑑定評価額は計41億8千万円で、借金との差額は31億3300万円となる。売却額で借金を賄えなかった場合、残りは公金で穴埋めする必要がある。論戦では責任の所在や、リスクの大きな事業を県が手掛ける妥当性などについて、湯崎知事がどう答えるかが注目となる。
■被服支廠の保存・活用 被爆証人、方向性が焦点
爆心地の南東約2・7キロにあり、軍服や軍靴を製造した旧陸軍被服支廠は、建築から106年を数える。全13棟のうち4棟が姿をとどめ、1〜3号棟を県、4号棟を国が所有する。県は見学者が増えている実態などを踏まえて18年度、いったんは敷地内に被爆証言を聞く建物(平屋約130平方メートル)を新設するのを柱とした改修案をまとめた。
だが、将来の財政負担の重さを懸念した自民議連から「3棟全体をどうするかの方向性をまずは固めるべきだ」と注文され、ことし2月に方針転換した。改修案を先送りし、現在は1〜3号棟の保存や活用について考え方を整理している。
一般質問では自民議連の県議が、県が1棟当たり33億円とはじいた耐震化の費用負担の大きさや、地震による倒壊の恐れについて、3棟全てを残すのは「非現実的」との立場から迫る見通し。自民党広志会・つばさの県議は、期限を設けて対応方針を決めるよう求めるとしている。
民主県政会の県議は「声なき被爆者」とも評される被服支廠の価値を重んじ、部分的にでも積極活用するよう求める。被爆者の高齢化が進む中、存廃を決めた場合の影響は財政面だけでは測れないだけに、論戦でどこまで具体的な方向性が示されるかが焦点となる。(樋口浩二)
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