推薦廃止、賛成が上回る 「広島県教委の公立高入試改革、どう思う?」
広島県教委が13日に示した公立高の入試改革の素案について、中国新聞が「こちら編集局です あなたの声から」の無料通信アプリLINE(ライン)で感想を尋ねたところ、中国地方の10〜80代の129人から意見が寄せられた。改革案の柱の一つである推薦入試の廃止について半数余りが賛意を示した。県教委に対し、改革内容に関する詳細な情報発信を求める声が相次いだ。
素案では2月上旬の推薦入試(選抜I)を廃止。3月上旬の一般入試(選抜II)と統合し、新たな一般入試とする。回答では賛成74人(57・4%)、反対31人(24・0%)、その他24人(18・6%)だった。
選抜I、IIの一本化で現在、約2カ月間にわたる入試期間が短縮される。「英断。(学校現場の)負担軽減になる」と評価したのは中学校の男性教諭。現場では12月下旬から小論文指導、面接指導と対策が続くという。呉市の女性(44)は「書類を準備する先生方の負担は相当なもの」とおもんぱかった。
推薦入試でわが子の不合格を経験した福山市の男性(41)は「小論文の勉強に時間を割いた分、一般入試向けの勉強に戻るのが大変だった」と廃止に賛成の立場。廿日市市の中学3年男子は「推薦合格した人を横目で見ながら勉強するのは嫌だ」と声を上げた。
推薦入試に対し「選考基準が不透明」「子どもの評価が教諭の主観に左右される」などの批判もあった。
反対意見には「一発勝負」の側面が強まることへの懸念が強かった。竹原市の高校生男子(17)は「受験回数が減ると、ものすごいプレッシャー」。広島市中区の女性(54)は「しっかり勉強やクラブをしている子にとっては推薦入試は励みになるのに」と批判した。
改革案のもう一つの柱である内申書の見直しも賛否が交錯した。中学校がまとめる調査書(内申書)のうちスポーツ活動などを記録する項目をなくし、代わりに生徒が自ら作成する「自己PR書」を作る。高校は全受験者に自己PR書を活用した面接をする。
高校生の子どもを持つ西区の女性(45)は「自主性を強く持つ好機になりそう。自ら書くことで透明性が高まる」と期待した。一方、安佐北区の高校生男子(18)は「先生の助言が入り、生徒の生の声が届くとは限らない」。西区の女性(47)は添削指導のため「中学校教諭の負担が増え、現場が混乱する」と懸念を示した。
改革案への賛否にかかわらず、「突然の発表」への戸惑いや、2021年春からの一部導入に「早すぎる」との不満の声があった。安芸区の中学2年女子(13)は「分からないことが多い。早く当事者である中学生に説明を」と求めた。中学生と高校生の子どもを持つ東広島市の女性(48)は「子どものためというより教師の働き方改革に見える。子どものことを最優先に考え、検討を進めてほしい」と願った。(奥田美奈子)
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