コラム・連載・特集

浅野家の中国絵画を解説 広島の特別展で板倉東京大教授

2019/10/9
講演する板倉教授

講演する板倉教授

 江戸時代の旧広島藩主・浅野氏旧蔵の書画などを集めた特別展「広島浅野家の至宝」(中国新聞社など主催)を開催中の広島県立美術館(広島市中区)で、同展企画委員を務める東京大東洋文化研究所の板倉聖哲(まさあき)教授が講演した。大名家有数の質と量を誇った中国絵画について解説した。

 ▽大名家有数の質と量誇る所蔵

 板倉教授によると、浅野氏は室町時代以降の日本の画壇で最も権威を持っていた中国宋元時代(10〜14世紀)の絵画を熱心に収集した。豊富なコレクションからは、日本人がどのように中国絵画を受け入れ、消化していったかという歴史をもたどれるという。

 ▽日本独自の美意識投影

 中国南宋の高名な画家馬遠(ばえん)の作と伝わる「寒江独釣(かんこうどくちょう)図」は、画面に釣り人と小舟がぽつんと浮かぶ。板倉教授によると、よく見ると小舟の近くにつなぎ目が見えるという。日本人が元の絵から舟の部分を切り抜き、背景など余計な要素を引き去った現在の形に改変したと推測。元絵にも描かれていただろう孤独感が日本人好みに強調されており、「日本は中国絵画の美を継承しながら独自の美意識を投影していった」と説いた。

 浅野氏は19世紀、収蔵する中国絵画に狩野派の鑑定を加え、後に「浅野箱」として名品の指標となる上等な箱を仕立てた。入念な整備が作品の権威を高め、近代以降もその名声が維持されたという。同展ではそれらの箱も展示されている。

 「今回ほどの規模で中国絵画の旧蔵品が一堂に会する機会はない」と板倉教授。「他の大名家にはないほどの尋常ならざるこだわりを見てほしい」と強調した。

 同展は20日まで。15日は休館。(城戸良彰)

 あなたにおすすめの記事

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

浅野氏 広島入城400年の最新記事
一覧