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【こちら編集局です】「低所得」限定、あおり大きく 国が新基準、中間世帯負担増

2019/10/18 23:29

 ▽「大学進学支援の新制度 わが家は後退」

 夢を持てる子どもがいるに違いない。低所得世帯の学生を対象に、大学など高等教育の「無償化」を図る制度が来年4月、スタートする。ところがこの新制度のあおりを受けて、大学進学が逆に遠のくケースもあるという。受験生の双子の娘がいる広島市内の女性(45)は「新制度はわが家にとっては後退でしかない」と嘆く。一体、どういうことだろう。

 女性は高校3年の双子を頭に4人の子どもを育てている。夫婦共働きで年収は800万円。いわゆる「中間所得世帯」だが、教育費の心配がつきまとう。まずは上の2人の受験が控える。当てにしていた制度があった。現行の授業料減免制度だ。

 いまは各大学が独自の基準を設けて支援する学生を選定している。学力や親の収入のほか、きょうだいの人数などを考慮する大学もある。財源の多くは国がカバーしている。すなわち従来は、女性の家庭のような中間所得世帯も支援の対象になり得た。

 ところが9月下旬になって、現行制度は本年度限りとなる見通しであることが分かった。文部科学省は、来春の新入生から新制度に基づく支援に一本化する方針を打ち出した。概要はこうだ。

 支援対象は年収270万円未満(住民税非課税世帯)から380万円未満の低所得世帯の大学生、短大生、専門学校生たち。つまり、経済的にかなり厳しい家庭の学生に絞る。授業料と入学金を減免し、さらに返済不要の給付型奨学金が支給される。

 一方で、支援の対象から除外される学生はどの程度いるのだろう。文科省によると、現行制度で授業料の減免を受けている国立大学部生は約4万5千人。その4割強に当たる約1万9千人が支援額が減少またはゼロになる見通しだ。同省は在校生向けの経過措置を検討するという。

 広島大(東広島市)は2018年度、日本人学部生延べ約1200人の授業料を減免。新制度になれば、うち3割の学生の負担が増えるとみる。担当者は「在校生は何とか救済したい」とするが、新入生への支援については「国の方針に従うほかない」と話す。

 「教育無償化」は、安倍晋三首相が17年10月の衆院選で掲げた目玉公約の一つだった。低所得世帯の子どもの高等教育進学率は4割で、全世帯平均の8割に押し上げるには年7600億円を要する。その財源は、10月の消費税増税による増収分が充てられる。

 中京大の大内裕和教授(教育社会学)は「国は対象をごく一部に限定しながら無償化をうたってきた。『看板に偽りあり』だ」と指摘。近年は学生の半数近くが貸与型奨学金を使っているとのデータに注目し「中間所得世帯も学費の支払いに困っている証拠。恩恵が広く及ぶよう授業料自体を下げるなど、もっと別のやり方があるはずだ」と強調する。

 声を寄せた女性はこう訴える。「うちの子どもたちも塾にも行かず頑張ってきた。説明もないまま負担が増える家庭が出るのは納得がいかない。年収だけで判断せず、個々の家庭の状況にも耳を傾けてもらいたい」(田中美千子)

 <クリック>高等教育の修学支援新制度 対象は「両親と大学生、中学生」のモデル世帯で、住民税非課税世帯の年収270万円未満が目安となる。授業料減免額は国公立大が全額免除に当たる年約54万円、私立大は最大で年約70万円。年収380万円未満までは満額の3分の1〜3分の2の支援がある。ほかに生活費にも充てられる給付型奨学金も支給され、非課税世帯の場合、国公立大の自宅生で年約35万円、私立大の下宿生で同91万円―など。入学金も減免される。

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