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原爆犠牲者8万9025人把握 広島市、推計14万人と開き

2019/11/28
原爆資料館のホワイトパノラマに表示された死者約14万人の文字

原爆資料館のホワイトパノラマに表示された死者約14万人の文字

 米軍が広島に原爆を投下した1945年8月6日から同年末までの原爆犠牲者として広島市が名前を把握しているのは、今年3月末時点で8万9025人であることが27日、分かった。広島市が一般的に示している推計値の「14万人±1万人」と大きな開きがあり、被爆から75年近くがたっても相当数の死亡者が特定できていない実態が浮き彫りとなった。

 ▽被害実態の解明遠く

 広島市が把握する死亡者数は「原爆被爆者動態調査」に基づく。市は動態調査と「14万人±1万人」の推計値を照らし合わせながら犠牲者数の実態を探っているが、一家全滅の家族や朝鮮半島出身者、軍人などの犠牲者がつかみきれていないとみる。

 動態調査は被爆から34年後の79年度、原爆被害の把握へと動くよう政府に求める機運が高まっていた中で始まり、現在も続く。52年に建立した原爆慰霊碑の石室に納める市原爆死没者名簿のほか、国や県などの複数の関連資料を手掛かりに、生存被爆者と死亡者の名前を集めている。

 8万9025人のうち、被爆当日の8月6日に亡くなっていたのは5万4327人で、翌7日〜12月31日の死亡者は3万4698人。広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、広島市南区)が協力して、名前の重複などを整理する作業を続けている。

 市は2012年度までに7期に分けて報告書を作成。最新の7期(99〜12年度)で、45年末までの死亡者の確認数を8万8978人とした。8期目の調査途中で、47人増えた。

 市原爆被害対策部は「第7期報告書をまとめた際、45年末までの死亡者の新たな確認は難しいとの見方もあったが、今回の調査でまだ判明の余地はあると受け止めた」と説明。8期の報告書作りへ調査を続ける。(水川恭輔)

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ウェブサイト<ヒロシマの空白>

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