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【こちら編集局です】偽サイト、手口も巧妙に 最新の被害情報にアンテナを

2019/12/3 21:09

 「通販サイトで自転車を買おうとして詐欺に遭った」。そんな訴えが広島市安佐南区の40代女性から無料通信アプリLINE(ライン)で編集局に寄せられた。代金を振り込んだのに商品が届かないという。暮らしに浸透したインターネット通販だが、トラブルは絶えない。取材すると、以前より見破りにくい詐欺サイトが増え、手口も巧妙化していた。

 女性は9月末、広島県外に住む息子が自転車を盗まれたと聞き、代わりの品を届けるため通販サイトを検索。3割値引きとなっていた約1万4千円の自転車を注文、入金したが商品は届かなかった。

 「振り返ると、おかしな点はあった」と女性は悔やむ。クレジットカード決済、代金引換も可能と書いてあるのに、注文先は個人名義の銀行口座への振り込みを指定。その相手の住所は東京なのに振込先は関西地方の支店。連絡先の電話番号の市外局番は宮城県内だった。

 記者が先日、女性に教えてもらった連絡先に電話してみると、「この番号は現在使われておりません」と自動音声が流れた。

 女性が指摘した「おかしな点」は詐欺サイトの特徴だ。こうした詐欺では不正入手した銀行口座が使われるため、振り込みでの入金指定は常とう手段。サイトは海外で作られるケースが多く、住所と電話番号がちぐはぐだったり、不自然な日本語が含まれていたりする。

 ところが近年、精巧な詐欺サイトが増えている。消費者庁などによると、アマゾン、楽天などネット通販大手の出店業者をはじめ、実在するメーカーの公式ショッピングサイトを丸ごとコピーし、不自然な日本語表記が見られないものが目立つという。怪しまれないよう値引き幅を抑えたり、URLに企業名を入れたりするケースもある。

 女性は詐欺サイトの存在を知り、購入先が安全か事前に検索もした。それでも被害に遭った。「10月1日の消費税増税前に買おうと焦ってしまった」と言う。

 安心なはずの企業の公式サイトでも被害に遭う危険が高まっている。何者かに改ざんされ、クレジットカード情報が盗まれる被害が2018年の半ばから相次いでいる。

 産官学の連携組織「日本サイバー犯罪対策センター」によると、改ざんされたサイトで購入手続きをすると、まず偽の決済画面が現れる。入力して決済を終えるとエラー表示が出た上で正常のサイトに戻る。再度試すと手続きは正常に終わる。商品も届くため、利用者が被害に遭ったと気付きにくい。

 今年10月末までに約100社のサイトが改ざんされ、盗まれたカード情報は約10万件。同センター経済・金融犯罪対策チームの佐藤朝哉リーダーは「偽の決済画面を利用者が見極めるのは困難」と指摘する。

 国民生活センターに寄せられたネット通販に関する相談件数は18年度、20万8699件にも上る。被害に遭わないためにはどうすればいいのだろう。

 広島県警サイバー犯罪対策課は、入金前にサイトの連絡先に電話確認する▽サイト内の説明文や注文後に送られてくるメールに不自然な日本語がないかチェックする―など「自衛の基本技」を徹底した上で、常に最新の被害情報にアンテナを張るよう求める。

 同課の枝廣誠志次席は「ネット通販は便利だが、リスクを常に意識してほしい。おかしいと思ったら、すぐに公的機関に相談を」と呼び掛ける。(藤田龍治)

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