【月刊E・12月号】被爆建物は国に買い上げてもらおう!
「景観に人はすぐ慣れるが、言葉がなじむには時間がかかる」
もったいぶった物言いは、歴史上の人物による名言とか、そういうものでは全くない。恥ずかしながら、これまで私自身が何度か新聞記事で使った自作の迷言(?)である。
絶景に出合って息をのむことがある。中国・ウルムチ郊外の「天池」もそうだった。日本国内だと千円札に印刷されている本栖湖のように、山々に囲まれた湖。ただ景色よりむしろ、水と空気が醸し出す透明感に圧倒された。言葉を失った。
だが帰国後に写真を見返しても、あの感動はよみがえってこない。飽きたというより、やはり初見の新鮮な驚きが一番ということだろう。
一方、「ディスる」や「タピる」は多分これからも使わないと思う。さらに世代とは無関係に、命名権に伴う公共施設の愛称や別称を、いつまでたっても覚えられずにいるのは私だけではないはずだ。
さて、本題に入る。何かと話題に上る広島市内の被爆建物のうち、旧陸軍被服支廠(ししょう)=南区=と広島大旧理学部1号館(中区)は国に買い上げてもらおうと、私は声を大にして言いたいのである。
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