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広島市南区宇品エリア<中>

2020/1/15 20:41
一帯をあかね色に染める元宇品の夕日

一帯をあかね色に染める元宇品の夕日

 ▽心揺さぶるあかね色 元宇品公園から見た夕日

 「夕日を撮影しにね、通う場所があるんよ」と地元の写真家藤原隆雄さん(70)が教えてくれた。元宇品公園の海岸から宮島が見える。冬場はちょうど、弥山の頂の向こうに太陽が沈むそうだ。神の島らしい、崇高で感動的な一瞬に心奪われるという。

 よく晴れた日、海岸沿いで日暮れを待った。するとそこに、ドローンで夕日を撮影する男性が現れた。安佐北区の写真家三上勝也さん(37)。結婚式の前撮りでも人気のスポットという。「幸せな二人にぴったりな場所」。買ったばかりのドローンでより魅力的な作品を撮るため、練習に励んでいた。

 弥山に夕日が差し始める。あかね色の光は輝きを増し、空と海と全てを包み込んだ。吸い込まれそうだ。そのとき、港へ向かうフェリーがすーっと横切った。神々しいけれど、人の暮らしのそばにある風景。なんて美しいんだろう。

 藤原さんが一言。「ストレス解消になるでしょ」。確かに―。帰りの自転車のペダルがいつもより軽くなった。(宮野史康)

 ▽倉庫街で「お宝」発見 出島に瀬戸内雑貨店

 「ああ、やっと見つけたわー」。こう笑いながら、お客がのれんをくぐってきた。工場や物流拠点が集まる出島。古いビルの2階に雑貨店「ENGAWA(エンガワ)」はある。食器、革製品、食品…。瀬戸内海を囲む7県の中小事業所などが製造する逸品約500点がそろう。倉庫街に眠る宝の山を発見した気分だ。

 江田島市の建設会社役員が運営会社を起こし、おととし開店。志田原かれん店長(23)は「海と陸をつなぐ港のそばで瀬戸内の魅力を伝えたい」と語る。

 併設のカフェで昨秋始めた高さ10センチのパンケーキを目当てに訪れる人も多い。広島県産レモンや江田島の蜂蜜を使用。ふるふる揺れて、もっちりで―。

 「ここを観光拠点に育てる」と志田原店長。店は、その端緒という。世羅町産茶葉で、焙煎(ばいせん)体験などができる工房を構想。海路で宮島を目指す外国人観光客も呼び込む考えだ。「出島から世界へ発信しますよ」

 路面電車の延伸計画もあるエリア。変わりつつある倉庫街で若い力が光っていた。(奥田美奈子)

この記事の写真

  • 弥山展望台が日没の太陽に映し出される(藤原隆雄さん撮影)
  • 12月から1月にかけて、太陽は弥山を中心に沈む(藤原隆雄さん撮影)
  • 山桜の咲く春の日没(藤原隆雄さん撮影)
  • 日没後15分から30分が美しい。柿の実がなる頃に(藤原隆雄さん撮影)
  • 天使のはしごのような光の筋。雲とのバランスがそろわないとなかなか見られない(藤原隆雄さん撮影)
  • 壁一面に瀬戸内海の地図を描いた店内で、パンケーキを紹介する志田原店長

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