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地域おこし「晴れ」多く 2期目折り返し村岡県政の通信簿

2020/2/26 11:59

 ▽「発信力」「安全」辛口評価も

 2期目の任期を折り返した村岡嗣政知事。就任から6年間の手腕は県民にどう映っているのだろうか。研究者やマスコミ、経済人、NPO法人代表など幅広い分野の7人に、山口県のリーダーである村岡知事の県政運営について「お天気マーク」の通信簿で採点してもらった。

 「リーダーシップ発信力」「地域おこし」「安心安全」「教育子育て」「経済観光」の5分野。評価は高い順に(1)晴れ(2)晴れのち曇り(3)曇り(4)曇りのち雨(5)雨―となる。

 「地域おこし」では3人が最高の「晴れ」を付けた。tysキャスターで県政記者クラブに所属する後藤心平氏は「知事は1期目から『山口にはポテンシャルがある』とUIJターンや若者の定着に力を入れてきた。これから成果が出てくる」と評価した。

 一方、前岩国市長の井原勝介氏は「人口減少対策に目的意識を持って取り組んでいる点は評価できるが、効果が上がっていない」と指摘する。

 2児の父親でもある村岡知事。等身大の目線で力を入れる「教育子育て」も3人が「晴れ」とした。子どもの貧困対策に取り組む岩国市のNPO法人「とりで」理事長の金本秀韓氏は「生活困窮世帯の子どもへの学習支援を推進し、スクールソーシャルワーカーの配置にも積極的だ」と賛辞を贈る。

 「経済観光」はやや渋めの採点となった。廃棄物収集の中特ホールディングス(周南市)社長の橋本ふくみ氏は「企業誘致が県西部に偏重している。経済政策を強力に進めないと」と要望する。

 山口市湯田温泉の旅館「西の雅常盤」の名物おかみの宮川高美氏は、山口宇部空港から韓国ソウル線が撤退したことやJR新山口駅に止まる新幹線の本数が少ないことに「物足りない。もっと便利になるよう関係先に働き掛けて」と注文する。

 上関原発建設計画や地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画など政治判断が難しい問題と直面する村岡知事。「安心安全」は5分野で唯一「晴れ」がなく、全体評価も低かった。元県職員で市民オンブズマンやまぐち代表幹事の広岡逸樹氏は地上イージスの配備に地元の阿武町長が反対を表明していることを挙げ「なぜ地元の意向を尊重してバックアップしないのか」とただす。

 山口大教授の立山紘毅氏(憲法・情報法)は、原発建設予定地の海の埋め立てを許可したことに「知事はよく『法律にのっとって』と発言するが、お役所仕事にもほどがある。埋め立ての先を見据えて判断するのが政治家の仕事のはずだ」と批判する。

 「リーダーシップ発信力」は評価が大きく分かれた。橋本氏は「東京大卒でキャリア官僚だが、偉そうでなく好感が持てる。高度経済成長期を経験したおじさんと違い、働き方改革を率先してくれるのでは」と笑顔。宮川氏も「一昨年の山口ゆめ花博では山口が多くのお客さんでにぎわった」と太鼓判。金本氏は知事が子ども食堂を応援する姿勢を挙げ「大いに心強い」と高い評価を付ける。

 一方、立山氏は「国と県は対等なパートナーのはずなのに従っているように映る」と手厳しい。広岡氏も「スピード感がない。安倍政権にべったりだ」と語気を強める。井原氏は「総務省の役人出身で選挙に担いでくれた人たちの意向を尊重せざるを得ないのだろうが、もう少しカラーを見せて」と求める。

 唯一、標準の「曇り」とした後藤氏は「『どこでもトーク』など県民の意見の吸収に積極的だ」とする半面、「年配の県議に遠慮している面がみられる。もっと思い切ってやれるはずだ」と奮起を促す。

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