生きて

<16> 政治とカネ 屈指の「集金力」 派閥運営

元自民党政調会長 亀井静香さん(1936年〜)2020/2/27
竹下氏の父の葬儀に参列した金丸氏=右端(1984年)

竹下氏の父の葬儀に参列した金丸氏=右端(1984年)

 今考えても大変失礼なことを言ってしまった。元首相の竹下登先生に対してだよ。「俺の方があんたより長生きする。毎年のあんたの命日に墓参りに行き、小便を引っ掛けてやるって」。詳しくは覚えてないんだが、絶対に許せないことがあって怒鳴り込んだんだ。先生は「そうだわなあ」ととぼけていたけど、俺のけんまくには驚いた顔をしていたな。

 気配りの人だった。派閥は違えど選挙区が広島と島根で中国山地を挟んで背中合わせだった。選挙資金として毎年300万円くれた。太っ腹といえば金丸信先生もそうだな。

 金丸氏は自民党幹事長や副総裁を歴任。1992年に東京佐川急便事件で失脚し、巨額脱税事件の公判中に死去する

 あれは84年ごろだ。俺は平沼赳夫たちと内戦が続いていたカンボジアに義援金を届けようと、自民党の実力者らにカンパを募った。当時幹事長の金丸先生も共感してくれた。事務所を訪ねると背広のポケットからぽんと金を出した。「これでは足りないな」と棚や机の引き出しをごそごそやり、積み上がったのは500万円。あれには驚かされた。

 亀井さんは95年、資金管理団体の収入が全国一の4億円超に。その後も屈指の「集金力」を誇った

 派閥(志帥会)を切り盛りしていると金は右から左へ流れていく。収支は明朗会計だ。これだけは強く言っておくぞ。俺は変な狙いがある相手からは金を受け取らない。だから許永中とのことが週刊誌に書かれた時は、裁判で徹底的に争ったんだ。

 バブル期に中堅商社から巨額の資金が流出した「イトマン事件」。特別背任罪で後に実刑判決を受ける許氏と密会したと報じられた。自民党政調会長だった亀井さんは2000年、出版社を名誉毀損(きそん)で告訴する

 裁判官は物珍しそうに俺の顔を見ていたよ、これが悪名高き亀井かって。裁判は、事実を述べた俺の勝ちだ。許永中とは面識はあったが、全く別件だ。こわもてだけど、かわいい目をしていたな。

 政治とカネを巡っては河井克行氏(広島3区)と妻案里氏(参院広島)に公選法違反疑惑がかかる

 案里は政治に熱心で、俺の所にも選挙の相談に来ていた。夫婦とも裸になって、出直したらいい。

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