【こちら編集局です】働く保護者、休校に嘆き 「子どもの留守番不安」「職場の協力お粗末」
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国地方の多くの学校が2日から臨時休校に入り、編集局には働く保護者たちの嘆きが続々と寄せられている。子どもだけに留守番させることへの不安、テレワークへの対応が鈍い職場へのいら立ち…。さらに休校期間中、仕事を失うことになる非正規の教職員は「収入が途絶える」として補償を訴える。
「わが家は大混乱。この生活が続くと思うと…」。広島市安芸区の事務員女性(39)は、共働きで小学2、4、6年の子ども3人を育てる。年度末の繁忙期だけに仕事を休めず、遠方の両親も頼れない。厚生労働省は2日、臨時休校のため仕事を休んだ親の賃金を日額8330円まで助成すると発表したが「休めない私たちには役に立たない」とため息をつく。
学校を休む子どもたちのことも気がかりだ。障害のある1人は民間の事業所に預けたが、留守番を任せた2人は初日に大げんかした。「事件に巻き込まれないかどうかも不安」と、学校による見回りを求める。
働き方の融通が利きにくい職種は多い。「病院は閉められないし、限られた人員でシフトを回しているだけに時短勤務も厳しい」とため息をつくのは、下松市の病院職員女性(44)。共働きのため、小学6年と中学2年の子どもに昼ご飯を置いて出掛けるが、「子どもの表情も暗く、心配です」と言う。
尾道市の女性(38)は夫とサービス業を営む。休むこともできず、小学4年の子どもは高齢の両親に預けた。「政府は零細事業者の具体的な支援策も示してもらいたい」と強調する。
共働きで小学生の子どもを育てる広島市内の女性(38)は、職場への不満を募らせる。テレワーク利用を希望したが、会社の回答は「検討に1週間かかる」。結局、仕事を休むことにした。「緊急事態なのに、職場の協力体制はあきれるほどお粗末」と憤る。
厚労省の今回の休業補償では救われない人はまだいる。休みとなる学校などで働く非正規の教員たちだ。尾道市の関口道彦さん(38)が非正規教員として働く東広島市内の幼稚園は3〜19日に休園後、春休みに入る。しかし、その間の補償の説明は受けていない。妻は出産したばかりで働けず、丸1カ月収入が途絶えることになる。
「長期の休園は非正規教職員にはくびと同義。死活問題だ」と関口さん。インターネット署名を始め、200人以上を集めた。2千人分が集まれば国に提出する予定。「立場が弱い非正規労働者の中には契約の更新が気掛かりで声を上げられない人も多い。粘り強く補償を求めたい」と話す。(田中美千子、ラン暁雨)
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