【こちら編集局です】五輪ホテル代「全額請求」に反響 返金次々、交渉が鍵 まず宿泊施設へ連絡を
東京五輪の延期決定で浮上した、観戦チケット購入者らが予約した宿泊施設をキャンセルする際の返金不可問題。「解約した場合、全額請求する」としていた当初の対応を見直す宿泊施設が相次いでいる。この問題を取り上げた26日掲載の「こちら編集局です」を読んだ読者からも、「返金されることになった」との声が寄せられた。購入者が宿泊施設に連絡し、交渉してみることが大切だ。
26日の記事は、チケット購入者の不安の声を紹介した。東広島市の会社員東谷明美さん(47)もその一人。既に支払った家族4人分の宿泊代について「泣き寝入りを覚悟していた」という。予約サイトに「キャンセルの場合、全額が請求されます」とあったからだ。
東谷さんは27日、宿泊施設に思い切って連絡し、解約を求めてみた。すると「全額返金します」との回答があった。「交渉してよかった」と喜び、早速手続きを済ませたという。
「駄目でもともと、とホテルに連絡したら返金すると言われた」。別のチケット購入者からもそんな声が届いた。このホテルの運営会社のホームページ(HP)には「全額返金する」との通知が掲載されていた。
調べてみると、複数のホテルなどがキャンセル料規定の見直しを始めていた。ビジネスホテルを全国展開するアパホテルは五輪期間中、「返金不可」の限定プランを設けていた。延期決定後、首都圏とマラソン会場となる札幌市内の80ホテルで、同プランについてキャンセル料を無料にした。
同社は、返金不可としたのは仮押さえやいたずら予約などで本来必要な人に客室を提供できなくなるのを防ぐためだったと説明。「五輪延期によるキャンセルは本人の都合ではない。またの機会にお泊まりいただきたい」とする。
ただ、解約の受け付けに「4月末まで」などと期限を設ける宿泊施設もある。多くは自己申告制とみられ、自ら問い合わせなければ返金の機会を失う。
「消費者の不利益にならないよう、宿泊施設が自主的に配慮するのは評価できる」。返金不可を見直す動きについて、特定適格消費者団体「消費者機構日本」(東京)の磯辺浩一専務理事は歓迎する。その上で「解約時期を問わず返金不可とするのは消費者契約法に照らして問題がある。今後、東京五輪の新たな開催日程が決まり、予約を受け付ける際、各宿泊施設は別の規定を考えるべきだ」と指摘する。(松本恭治、木原由維)
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