【こちら編集局です】9月入学「賛成」6割 緊急アンケート、「世界標準」「好機」
新型コロナウイルスの感染拡大で学校の臨時休校が長引く中、「9月入学制」の導入論が急浮上している。全国知事会は政府に国民的な議論を促し、安倍晋三首相も前向きな意向を示す。編集局が無料通信アプリLINE(ライン)を通じて1日に実施した緊急アンケートには935人から回答が寄せられ、導入への「賛成」が6割近くを占めた。
▽「春が慣習」 性急さ懸念も
三つの選択肢で回答を求めた。最多は「賛成」の540人(58%)。「どちらでもない」が218人(23%)、「反対」が177人(19%)で続いた。
回答を選んだ理由も書いてもらった。賛成者の多くは欧米諸国が9月入学を採用していることから「世界標準」を重視。「絶好のタイミング」「今しかない」といった声が相次いだ。
「海外の国と足並みをそろえることで子どもの選択肢も増え、グローバルに働きやすくなると思う」。岡山県内の40代女性は指摘する。「子どもの留学時にスムーズに入学できる」(広島市の30代女性)など、留学のメリットを挙げる人も少なくなかった。
学習の遅れを背景に賛同する人もいた。休校中の数カ月分を9月から学び直せるため、広島市の50代女性は「地域で差が出てきつつある学びの機会を均等にできる」との見方を示す。山口県内の30代女性は「子どもの学力が心配。ゆとり世代ならぬ『コロナ世代』と呼ばれてしまわないよう、学校で学べる時間を保障してあげて」と訴えた。
受験時期が冬から夏に変わると「インフルエンザや大雪の心配をしなくて済む」(広島県内の30代女性)と歓迎する意見も複数寄せられた。
「どちらでもない」と答えた人では、行政や企業の会計年度など幅広い影響を指摘する意見が目立つ。広島県内の50代男性は「国際社会を考えれば9月、日本社会を考えれば年度の節目の4月」と賛否を決めかねた。広島県内の10代女子は「空白の前期を取り戻すことができるから勉強面は良いが、全ての行事がずれ込んでしまう」と迷う。
広島市の50代男性は入試時期を巡り「雪の影響がなくなるメリットはあるだろうが、夏には台風や大雨の心配がある」とした。
「反対」を選択した人には、性急な議論を懸念する見方が多い。広島市の70代女性は「いずれ9月入学に移行するとしても、今年は到底無理。机上の論議はうんざり」と手厳しい。広島市の60代男性は「9月に確実にコロナが終息しているという保証は何もない」と断じた。広島市の50代女性は「今、社会全体のシステムを変える時間や経済的な力があるなら、その力を医療に注いでほしい」と感染症対策を優先するよう求めた。
桜の咲く春に向けて入試の合格発表や卒入学式がある長年の慣習を大切にしたいという声も多かった。広島県内の80代男性は「無理に欧米に合わせる必要はない。季節的にも春から始めるのが日本に合っている」。広島県内の10代女子は「桜とともに入学式をするのが日本の風習だと思う」との意見をつづった。(松本恭治、木原由維)
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