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≪新型コロナ≫家賃負担 事業継続へ軽減策急げ

2020/5/8

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、休業を余儀なくされている飲食店などの事業者から、家賃の負担軽減を求める悲痛な声が相次いでいる。

 収入が激減する中、固定費の家賃が経営を圧迫。きのうからの緊急事態宣言の延長で、状況はさらに悪化する恐れがあり、死活問題と言える。

 当面の支払い猶予や減額に応じる不動産オーナーがいるものの、コロナ禍が長期化すれば共倒れしかねない。

 国は補正予算に「家賃対策」として収入が半減した中小企業に最大200万円の「持続化給付金」を盛り込んだ。しかし条件が厳しく、給付は1度だけで「少なすぎる」との批判が絶えない。それでも申請開始の1日には専用ホームページにアクセスが殺到した。事業者が置かれた状況の切実さの表れだろう。

 放置すれば、事業継続の道が断たれる経営者が多く出かねない。救済へ、国は負担軽減策を早急にまとめる必要がある。

 広島市中心部の飲食店などは営業時間の短縮や休業で売り上げが大幅に減少。先行きもなかなか見通せない中、家賃の支払いが重くのしかかっている。

 「テナントを廃業させるわけにはいかない」。そんな思いで家賃を減額する動きが広島県内の店舗オーナーの中から出てきた。店が残ってさえいれば「再出発」も可能だとの思いが強いからだろう。歓迎したい。

 ビルのオーナーとテナントはビジネスパートナーである。両者を救う手だてが急がれる。店がつぶれると、オーナーにも地域経済にも大きな打撃となる。街の魅力も失われてしまう。

 先月下旬には、全国展開するカフェや居酒屋チェーンなどの経営者が、家賃の支払い猶予や減免できる法整備を国に要望した。国レベルの対応が必要だ。

 コロナ禍の影響で既に全国で企業倒産が相次いでいる。東京商工リサーチの調べによると、1日までに35都道府県の114社に上ったという。宿泊業や飲食業が目立ち、外出自粛や訪日外国人客の激減が、体力の弱い中小・零細業者を直撃したことが浮き彫りになった。資金繰りが逼迫(ひっぱく)しているだけに国や自治体が支えなければ、倒産の急増には歯止めがかかるまい。

 全国知事会も5日、緊急事態宣言の延長決定を受け、家賃負担の軽減などを含めた強力な2次補正予算編成を国に求めた。機動的な財政出動が欠かせないとの指摘だろう。

 国会もようやく本格的に動きだした。野党5党が国会に提出した家賃支援法案は、前年比20%以上の減収になった中小事業者に家賃を1年程度、政府系金融機関が肩代わりする仕組みだ。事業者の経営が苦しければ支払いを免除するという。

 肝心の与党はきのう、支援策について大筋合意した。一定の割合の収入減を条件に家賃の3分の2を半年間給付する案だ。自民党と公明党との間で食い違いがあり、解消に向けて調整を続けていた。

 遅れの目立つ国の支援策を待ち切れず、独自策を打ち出す自治体もある。山口市は売り上げが減った飲食店に家賃を補助する。最大30万円だ。国は自治体任せにせず、あらゆる手を尽くすべきだ。まずは家賃負担の軽減に向け、2次補正予算の編成を急がなければならない。 

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