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新しい世界を産む

2020/5/15

 街路樹といい里山の森といい、きらめく初夏の緑に心が洗われる。しかも一口に緑といっても、濃淡や色合いは実にさまざま。萌黄(もえぎ)色とか若竹色とか、80を超える和名があるそうだ▲東京や大阪などを除く列島各地で、緊急事態宣言が解除された。長らくの外出自粛で縮こまった心と体を解きほぐすためにも、色とりどりの緑を見つける自宅近くの散策はいかが。空気は爽やかだし、気温もほどよい▲そうして少しずつ日常を取り戻したい。と願いつつも、もはや「コロナ前」に戻るのは難しいとの覚悟も必要か。大声で話すな、握手はするな、互いに距離を取れ―。人間同士の付き合いを何かと邪魔したがるウイルスなのだから▲わが命も大切な人の命も、自分が守ってみせる。「新しい生活様式」が私たちに問うているのは、すぐに気を緩めてしまうことのない強さと、決して周りにうつさない優しさに違いない▲産むならば世界を産めよものの芽の湧き立つ森のさみどりのなか(阿木津英=あきつえい=)。元の日常に戻れないならいっそ皆で「コロナ後」の新しい世界を創ってみせよう。そうした気概が今こそ問われているのかもしれない。人々の笑顔と豊かな緑に満ちた世界を。

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