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≪新型コロナ≫熱中症 例年より備えを細心に

2020/5/19

 気温の高くなる日が多くなってきた。熱中症への警戒や備えが必要な季節の到来である。

 とりわけ今年は一層の注意が必要だと医師や専門家が警鐘を鳴らしている。新型コロナウイルスの感染拡大も、同時に警戒せねばならないからだ。

 感染予防のために、引き続きマスクの着用が求められているが、これが体温の上昇を招き、熱中症を引き起こす要因になるという。特に高齢者や、体温調節がうまくできない子どもたちには、周囲が十分に目を配る必要がある。

 全国の医師らでつくる団体、教えて!「かくれ脱水」委員会が、熱中症対策への危機感を伝える緊急提言を発表している。

 新型コロナの感染防止にマスク着用は必要としつつも、マスクを着けていると口や頭を中心に熱が体内にこもりやすくなると指摘。体外に熱を発散しにくく、体温が上昇してしまう。

 また、マスク着用時は口の中の湿度が保たれるため、喉の渇きを感じにくくなるという。さらにマスクを外すのをためらう気持ちから、水分を摂取する機会も減りがちになる。

 水分補給がおろそかになり、自分でも気付かぬうちに進む脱水症状と、体温上昇とが重なって、熱中症になるリスクを高めるわけだ。

 長引くコロナ対策が私たちの体に変調をもたらした面もある。体力低下と、暑さへの適応の難しさである。長く外出を控えているため、日光を浴びて体を動かすことが減り、汗をかきにくい体になっているようだ。

 今年はなおさら熱中症になりやすい要因があるのは間違いない。「かくれ脱水」委員会は例年以上にこまめな水分補給を呼び掛ける。規則正しい生活のほか適度な運動で暑くなる前に汗をかいておくことも求めた。

 公園などでジョギングやウオーキングにいそしむ人が見受けられる。スポーツ庁は、1人で人の少ない場所を選んで行い、他者と距離を取るよう求める。

 できるだけマスク着用を呼び掛けており、実際にマスク姿で走る人も目立つ。だがマスクでの運動は暑く息苦しく、体に負荷が掛かる。熱中症の危険を高めると専門家は警告する。人のそばを通る際はマスクや布で口を覆うエチケットを心掛け、人がいなければマスクを外すといった工夫がいるだろう。

 自宅での「巣ごもり」にも注意が要る。冷房を適切に使うことが大事だ。その際は、換気することを忘れてはならない。

 せきやおしゃべりで飛ぶ、ウイルスを含んだごく小さな「マイクロ飛沫(ひまつ)」などを、エアコンが拡散しかねないためだ。

 温暖化の影響もあって毎年、大勢が熱中症を患う。昨年は全国で約7万人が搬送された。

 「医療崩壊」の恐れがあるため、例年以上に警戒が必要だ。熱中症は高熱になりコロナ感染の症状と似ている。救急患者が多く出た場合、区別が付きにくく、コロナ対応に追われる医療体制を一層圧迫してしまう。

 再開を模索している学校現場も大変だろう。体育の時にマスクを着用するか、教室の冷房と換気をどうするか。苦慮しているに違いない。

 政府は専門家の意見を聞いた上で、今年の熱中症に対するきめ細かな予防策をまとめ、早急に周知せねばならない。 

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