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常に「指揮権発動」できる状態?

2020/5/20

 敗戦直後のNHKラジオは「何でもあり」。永六輔さんを育てた放送作家三木鶏郎(とりろう)さんが飛び込みで10分のコントを売り込むと、毎週来てくれと懇願されたという。矢崎泰久さん著「永六輔の伝言」から引く▲だがトリローさん、風刺の達人だから風当たりもきつい。やがて造船疑獄が浮上すると、唱歌「汽車」をもじって<今は国会、今は赤坂、今は小菅(こすげ)へ入るぞと>と番組でやってしまう。赤坂は料亭で、小菅は刑務所または拘置所。与党の圧力か、さりげなく番組は打ち切られる▲疑獄の検察捜査もまた、打ち切られた。法相による指揮権発動という「禁じ手」の前例を残し▲こちらも禁じ手との悪評を買った検察庁法の改正が、今国会では見送られる。定年延長は一度も必要なかった―とOBたちまで異議を申し立てた。与党が特定の検察幹部を身内にするような改正だろう。憲法学者水島朝穂さんに言わせると、常に指揮権発動していることになる▲野党の追及というより、ツイッター世論が事を動かした。<政治家は世論をそらすことを旨とすべし>。トリローさんはコントで、こうも皮肉っていた。世論は誠意をもって処すべし、という寓意(ぐうい)が読み取れる。

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