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リンゴは落ちるとしても

2020/5/23

 コロナ禍の今、がぜん英国の科学者ニュートンが注目されている。リンゴが木から落ちるのを本当に見たかどうかはともかく、万有引力を発見した。ほかにも微分・積分法を見つけ、光は粒子だと言い出した人だ▲欧州でペストが大流行した1660年代、感染防止のためケンブリッジ大が閉鎖に。そこで学んでいたニュートンも帰省を余儀なくされた。ひなびた古里はしかし、思索を深めるにはもってこい。そうして多くの偉業の礎を20代のうちに築いていく▲やはりキャンパスが閉ざされた現代の大学生の皆さん。学業は日々、深まっているだろうか。一方通行になりがちなオンライン講義はきっと、物足りないに違いない▲しかも、若者は無自覚のまま感染を広げていると世間からひとくくりにされてきた。アルバイト先の営業自粛が長引き、生活費に困窮する人もいることだろう。今は勉強どころではない。そんな苦境は察して余りある▲それでもあえて言わせていただくなら、今こそ新しい日常、新しい世界について思索を究める時にしてほしい。リンゴはこの先も木から落ちる。一方、見直すべき既成概念だってさまざまあるはずだ。しなやかなその若い発想で。 

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