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マツスタの青芝遠く

2020/5/24

 ことしほど、風物詩と縁遠い年もあるまい。球春はろくに味わえず、夏の甲子園も幻となった。やりきれないのは球児やファンだけではない。球場で日々、土と芝の手入れに汗をかいてきた裏方さんたちも、晴れの舞台を失った気分だろう▲柔らかく、体に優しい天然芝は見栄えもする。もし、赤ん坊が何十人、何百人と芝生でハイハイする風景を目にしたら…。「幸せ」や「平和」の文字が浮かぶ。芝には緑を保つ薬剤も欠かせず、実際は難しいだろうが▲内外野とも天然芝のマツダスタジアムで、広島東洋カープがチーム練習を再開した。きのうまで3日間、新型コロナ対策で県境をまたがずに来られるファンに限られたものの、観客席が開放された。お目当ての選手や夏芝がまぶしかったに違いない▲記者もカープ番以外は入れない。やじ馬根性をなだめようと「ただ見エリア」に向かえば、立ち入り禁止。歩道から生け垣越しにのぞき見るのがやっとだった。それでも、豆粒のような赤ヘルたちが弾む姿に心躍った▲満塁や青芝遠く緊張す(佐久間慧子)。プロ野球の開幕やJリーグ再開が取り沙汰され始めた。季節感という気持ちの歯車も回りだす気配がする。 

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