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≪新型コロナ≫緊急事態全面解除 第2波への備え、怠るな

2020/5/26

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言がきのう、およそ1カ月半ぶりに全面解除された。

 北海道と東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県で最後まで残っていたが、政府は宣言の延長期限の31日から前倒しする形で判断した。背景には大きく落ち込んでいる経済への強い危機感があったのだろう。

 確かに感染の大きな波は収束させることはできている。社会全体で外出自粛や休業の要請に取り組んできた成果といえる。

 だが新規感染者がたとえゼロになったとしても、ウイルスの脅威が完全になくなるわけではない。感染を防ぎながら、慎重に社会・経済活動を再開していくことが求められる。

 解除の基準として、政府は感染状況、医療提供体制、監視・検査体制を挙げる。感染状況については「直近1週間の10万人当たりの新規感染者数が0・5人以下」との目安を示した。

 東京など3都県はクリアしたが、北海道と神奈川県は目安を上回り、ばらつきがある。感染経路の分からない患者の割合や病床数の余力など、総合的に解除を判断したという。ただ東京や北海道で10人を超える新規感染者が出るなど「第2波」への警戒感は強い。解除後も徹底した監視と分析が欠かせない。

 宣言の解除に当たり、政府は新型コロナに関する基本的対処方針を改定した。

 先行して宣言が解除された地域では、屋内が100人以下、屋外が200人以下でのイベントの開催が可能となっている。今後は2〜3週間ごとに地域の感染状況の評価を行い、段階的に緩和していく考えだ。

 プロスポーツは無観客での試合開催ができるようになった。プロ野球はきのう6月19日のシーズン開幕を発表した。生での観戦は難しいが待ち望んでいたファンにとっては朗報だろう。

 人出が増えて経済の歯車が回り始めると、感染リスクは高まってしまう。ワクチンや治療薬がない現状では、再流行を防ぐのは極めて難しいと言わざるを得ない。感染の広がりを抑え込んでいるこの時期に第2波への備えは怠ることなく、できる限り手を尽くしたい。

 まずは医療体制の立て直しに取り組まなければならない。感染者を受け入れた医療機関では、必要な設備や機材を購入したり一般の病床数を減らしたりして経営が悪化している。コロナ以外の患者の治療や手術が後回しになったケースもある。

 マスクや防護服は依然不足している。今後患者が減っていけば、コロナ対応の病床をどう維持していくかも課題となる。政府は、医療機関への一層の財政支援を急がなければならない。

 感染拡大のリスクをいち早く把握するための監視体制の強化も欠かせない。保健所の態勢強化はもちろん、幅広い検査を実施して対策に反映させていかなければならない。

 第1波の危機は乗り越えたといえるが、感染予防策を緩めるわけにはいかない。密集、密閉、密接の「3密」を避けるために人と人の距離を確保し、マスクの着用も続ける。私たち一人一人が「新しい生活様式」を心掛けることが重要だ。

 コロナに負けない社会を構築するスタートラインに立ったにすぎないと肝に銘じたい。 

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